2018.08.31 Friday

日本獣医腎泌尿器学会へ出席してきました

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    8月19日、病院はお休みさせていただき毎年恒例の日本獣医腎泌尿器学会へ出席してきました。

    品川で開催。電車1本で行けるので助かります。

     

    この学会(どの学会もそうですが)、各大学などの有名な先生が一堂に会します。

    そんなところに毎年通って思うことは、「まあ皆さんよく知ってる」

    当たり前ですが、病気のこと体のこと本当によく知ってる。

     

    私も追いつこうと日々勉強していますが・・・刺激になります。

     

    さらには、畑は違うのですが、国立大学の基礎研究を行ってる先生方。

    頭の出来が違いすぎて話の最中に気が遠のきそうになりますが、必死で食らいついてなんとか、なんとか少しは理解。

     

    1次診療といえども、専門的なこともかじってる以上、生涯精進が続きます。

     

    さて、そんな刺激的な1日をおくれる学会の今年のテーマは、「腎臓泌尿器疾患の診断と治療」

    学会としては、今後ガイドラインの作成に向けて動き出すようです。

     

    海外では、病気に対する診断・治療ガイドラインというものが存在し、年単位で手が加えられ日々更新しています。

    我々もこのような海外の情報を手に入れて、日々の診療に役立てているのですが。

     

    海外での飼育環境や動物種は日本と違うこともあり、日本版のガイドラインができることは喜ばしいことです。

    誰でも手に入る指針みたいなのもがあれば、獣医診療の全体的な底上げにもつながり、

    飼い主さんとペットがどこの病院でも一定以上の診療を受けられるようにもなります。

     

    専門的な診療を行う病院も年々増えてきています。

    これからの獣医療が良い方向に進んでくれることが、獣医師・飼い主・動物にとって大事なことかと思います。

     

    おおくぼ動物病院 www.okuboo-vet.com

     

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    2018.03.30 Friday

    猫の尿管結石・腎結石 水腎症 SUBシステム 手術

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      おなじみの尿管結石、水腎症。

      これぞ、SUBシステム症例(いいのか悪いのか?)。

      というような感じの子が来たので、ご紹介します。

       

       

      来院したのは、6歳になる雄猫のTちゃん。

      飼い主さんは、古くから当院に掛かられている方で、猫のこともよく知っています。

       

      来院した理由は、

      「最近、よく水を飲むんです」とのこと。

       

      若いし、体格いいし、「糖尿病かな??」なんて感じで血液検査をしてみると。。。

      BUN 71  Cre3.2  IP7.9・・・腎臓やられてんじゃん!!_| ̄|○

       

      すぐさまエコーとレントゲン

      わかりずらいですが、左右腎臓の中と尿管の位置に細かな結石が多発。

       

      エコーでは、左右腎臓ともにしっかり水腎症。

       

      決まりです。詰まってます。

      尿管閉塞といえば、このところ紹介症例ばかりでしたが。

      まさかうちの子がガーンネコ

       

      幸い、腎臓の数値もそれほど上昇しておらず、食欲もあるとのこと。

      尿検査でも、細菌感染は認められません。

       

      「そういうことなら」と、話し合い。

      「細かな結石は全て取ることはできません、SUBシステムが適応と考えます」

      とお伝えすると(実際にはものすごく詳しく話しますが)

      飼い主さんも、すぐに状況を理解していただき「お願いします」とのこと。

       

      その日の晩には、手術となりました。

       

      ここ数年、SUBシステムを使用して経験させてもらいましたが、

      何しろ細菌感染が命取りとなります。

      最初から感染を起こしている子もいるので、抗生物質で叩き、培養検査が陰性になって、

      それから入れてるのに、再度感染を起こします。

       

      感染を起こすと、腎機能にも影響が出ます。

      今回のような、感染の無い状況での閉塞は、間髪入れず設置する。

      どうも、その手しかないようです。

       

      当のTちゃんは、ゆっくりと腎機能も回復し、1ヶ月後にはCre1.9。

      入れた直後から、頻尿が継続していましたがそれも治り、調子も良さそう。

       

      まだ若いですから、なんとか長くもってもらいたい。願うばかりです。

       

       

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      2017.12.30 Saturday

      長期間水腎症になっていた猫 尿管結石 手術

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        私にとっては、全然久しぶりではない尿管結石。

        ブログに書くのは、久しぶりな感じです。

        そして、今年の締めくくりは、やっぱりこの病気でしょう(いいんだか悪いんだか)

         

        今回の子は、長年水腎症のまま経過観察されていた猫のHちゃんです。

         

        最初は、獣医師会でお世話になっている先生からの電話でした。

        「尿管結石の猫が、セカンドオピニオンで来てるんだけど、先生の方が詳しいから紹介しておいたよ」

        「はーい、わかりました。話を聞いてみます。」

         

        程なく、Hちゃんを連れた飼い主さんがいらっしゃいました。

        早速話を聞いてみると・・・

        さかのぼること5年前、結石の閉塞疑いで急性腎障害に。

        診断も曖昧だったらしく治療らしい治療もせず。

        その後なんとか持ち直して経過観察。

        昨年も一度具合が悪くなり、夏には2次診療施設も受診。

        その施設での診断も尿管閉塞、腎障害。しかしなぜかすぐには治療困難とのこと??

        そしていよいよ当院に受診。(ここまで長いなぁ)

         

        当のHちゃんは、見た目は普通(ぐったりというわけではありません)。

        嘔吐があるようですが、食欲もそれなり。

         

        肝心の血液検査では、Cre値4.4(しっかりとした腎不全です)

        そしてレントゲン

        膀胱の手前の尿管と思われる場所に結構な大きさの結石。右の腎臓内にも小さな結石。

        うーん、これが原因っぽいね ガーンネコ

         

        続いては、エコー検査。

        左の腎臓は・・・久しぶりに診るパンパンの水腎症。

        尿管を追っていくと

        しっかりと?!結石が詰まってます。尿管の太さも2.2mm。

        続けて検査した右の腎臓は萎縮して変形しています(それでも頑張って動いてるんだろうな)。

         

        っとここまでの検査で、飼い主さんと相談。

        「昨年の2次診療施設でもこの状態であれば、左の腎臓は機能していない可能性も高いと思います。」

         

        「仮に右の腎臓1個で頑張っていて、Cre値がこの値であればその病態は慢性腎不全となりますので、麻酔をかけて手術をしても術後に腎不全の悪化が起こるかもしれません。」

         

        「とにかく、左の腎臓が生きてるのか否かで、今後の治療が変わって来ますので、もう少し突っ込んだ検査をしませんか?」

         

        ということで日を改めて、

        IVP(静脈性尿路造影)・・・静脈内へ造影剤を投与すると腎臓に集まり、機能しているかどうか判断できます。

        教科書的には、こんな値の腎臓で行うのは否定的ですが、一番負担なく検査できるのはこの方法。

        通常は投与直後から5分後くらいで腎臓が造影されますが、1時間も待てばいけるでしょう。

         

        どうかな?腎臓染まってくるかな?

         

        右の腎臓は早い時間から造影されているので、バッチリ(懸命に頑張っているようです)。

        そして待つこと45分。

        左の腎臓も造影剤で増強されてきました!!!どうやら機能していそうです矢印上

         

        こうなれば、手術しても期待がもてます。

        手順は以下のとうりです。

         

        1、尿管切開によって詰まっている結石を取ります。膀胱側の尿管の疎通が確認できれば、尿管を縫って閉腹。

        2、ダメならその場で尿管転植(尿管を膀胱へつなぎなおします)。

        3、術後そのまま良好なら経過観察。

        4、尿管切開部が炎症等により閉塞した場合は、もう一度手術で2に戻ります。

         

        尿管に詰まった結石を取るだけでも、このような準備と行える技術が必要となります。

         

        残念ながら、泌尿器の外科は1回で終わらないこともしばしばあります。

        「じゃあ最初から、尿管転植やればいいじゃん」と思うかもしれませんが、

        それはそれで、膀胱につないだ尿管の出口が炎症で閉塞することもあります。

        したがって、最小限の方法で終わることが、ダメだった場合の次の手術をしやすくさせます。

        SUBなどのデバイスの使用は極力避けること、使わないと助けられない子の最終手段となります。

         

        手術は、無事終了。

        膀胱側の尿管は結構細かったですが、疎通も確認でき尿管を縫って終わり。

        後は、腎臓が縮んでくれることを祈るのみ。

         

        手術翌日・・・若干小さい。少なくとも悪化はしていない。

        3日目・・・そんなに変わらないけど

        7日目・・・おぉぉぉ!!!腎臓縮んでる!!!!

         

        そして、術後約3週間ほとんど正常な腎臓、Cre値も少しずつ改善。手

         

        Hちゃん診察台で緊張気味ですが・・・Docomo_kao8

        食欲も元気もあって、経過良好。

        よくここまで、頑張ってたね!よかったよかった!!

        これからも治療は継続ですが、とりあえず一山超えました。

         

        今年も、いろいろなことがありました。

        うまくいった子ばかりではありません、助けられなかった子もいます。

        でも、「とにかく目の前の子をどうにかする。」この積み重ねしかありません。

         

        年明けには、やらなくちゃいけない手術もすでにいくつかあります泣き

        スタッフ一同、来年も頑張ります。

        みなさま、よいお年をお迎えください。

         

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        2017.04.27 Thursday

        猫の尿管閉塞 SUBシステムって・・・

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          今年に入って、

          獣医師会の集まりなどで懐かしい同級生や先輩方、近隣の先生方ともお会いする機会がグッと増え。

           

          「泌尿器やってるんでしょ!!なんかあったら頼んでいい?」

           

          「もちろん僕で良ければ、精一杯やらせていただきます矢印上

          なんてやり取りが頻繁に行われるようになり。

           

          すこし勉強している先生方は・・・

          「SUBシステムなんかもやるの?」と

          かなり積極的な治療法にも興味津々。

           

          懇親会などのお酒の席では、あまり詳しく詰めた話も出来ませんので、

          後日、症例を紹介してもらい見学に来られる先生には、私なりの考察をお話しさせていただき、

          1次診療の臨床家同士でディスカッション。

          泌尿器に関わらず、かなり込み入った会話をさせてもらっています。

           

          そんな、SUBシステム。。。

          (以前ブログに掲載したものですhttp://okubo-vet.jugem.jp/?eid=865564

          何十例なんて多い数ではありませんが、当院でも使用している子がいます。

           

          そんな子達のほとんどを今も自分自身で管理させてもらい

          わかってきたのは・・・

           

          「やっぱり入れないで済むのであれば、入れない方が絶対に良い」ということです。

           

          「なるべく尿管切開や尿管転植により解決させる。人工物は最終手段。」

          基本的に最初からこの理念の元で治療を行っているので、入れざる負えない症例にしか使用していません。

          わかりやすく言い換えれば、SUBシステムを使用しなければ助けられない症例のみに使用しています。

           

          他の先生のところではどうかわかりませんが、そんな状況の中でも、

          程度の差はあるものの全症例で設置後になんらかの問題が起っています。

           

          慢性的な血尿、異物への生体反応、細菌感染などなど・・・

           

          ウチの病院の場合、飼い主さんには設置後に予想できる有害事象の説明はもちろん、

          なんでSUBを使用しないとダメなのかを徹底的に話し合い理解してもらっています。が・・・

          それでも、何か起きると飼い主さんと一緒になって悩み、落としどころを探します。

           

          「その場の救命」が最優先事項であるため、ある程度は仕方が無い事ですし、

          助けられるようになった症例が増えたことも事実です。

          デバイスの使用・・・なかなか難しい選択です。

           

          要は、病気がなくなってくれれば一番良いのですが。

          そうはいきません。

          ただし、何でもかんでもSUBシステムというのは、ちょっとどうかと思います。

           

           

          おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

           

           

           

           

           

           

          2017.02.11 Saturday

          ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の治療薬 

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            最近、ネコの飼い主さんとよく話すこの話題。

             

            特にウチの病院は腎不全を扱っている件数も多いので・・・

            皆さん気になってます。

             

            「先生、あの記事見ました?!!」

            「うちの子も長生きできるかしら?!」

            「いつ頃薬がでるんでしょうかね?」

             

            などなど

             

            数ヶ月前に発表された東京大学による研究がそれです。

            http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08431130W6A011C1TJM000/

             

            ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の多くは間質性腎炎であることは以前から分かっていたことですが、

            その原因については不明でした。

             

            現在まで「ネコは腎不全になる生き物なんです」としか言いようがなかったのですが、

            東京大学の研究で原因が解明されてきました。

            今後数年かけて研究が進み、実用化されることを期待します。

             

             

            それとは別にこの4月に販売予定で、動物用薬として認可された「ラプロス」という薬。

            東レさんが開発しました。

            http://www.nikkei.com/article/DGXLRSP434073_T20C17A1000000/

             

            この薬の主成分である「ベラプロストナトリウム」は

            もともと医学領域で慢性動脈閉塞症や原発肺高血圧症の治療薬として使用されています。

             

            獣医学領域でも、循環器の分野でこの薬を使用した発表がみられ、

            今回の研究で、ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の進行を抑制させる効果が分かったようです。

             

            ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)における治療の選択肢になることは間違いありませんし、

            もちろん当院でも使ってみようと思いますが。

            副作用や効果、本当の投与量などの検討は、

            臨床の現場で数ヶ月から数年間経過してみないと分からないと思います。

             

            さらに細かな話をすれば・・・

             

            この薬だけ飲めば良いわけでもありません。

            今までのような維持療法も行いつつの、もう一つの選択肢です。

             

            腎障害は、間質性腎炎に限ったことではありません。

            その他にも腎炎が存在します。

             

            このような薬が出ると、「BUN,Creが高い症例には何でもかんでも飲ませる」なんて風潮が・・・

            いうまでもなく、ちゃんと診断してこその治療薬です。

             

            まあ、とにかく病気が解明されることは良いことです。

            私が診ているネコちゃん達には、1日でも長く生きてくれることを目指していますので、

            このような薬が出てくれることは喜ばしい限りですね。

             

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            2016.12.22 Thursday

            猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その3

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              腎臓の数値もだいぶ下がったMくん。

              食欲も安定し始めました。

               

              こうなると最終段階です。

               

              尿管の流れはどうなっているのか?

              腎瘻チューブから直接造影剤を注入し確かめてみます。

               

              すると、尿管の炎症はものすごいことになっていますが、なんとか膀胱まで達しています。

               

              おおっ!!!

              このまま腎瘻チューブの抜去で終われるか?

               

              試しに腎瘻チューブを閉じて24時間・・・

              自力排尿で腎臓の数値が上がるのか? キープなのか?? 下がるのか???

               

              上がりました_| ̄|○、このままの尿管ではダメなようですショボン

               

              この結果をうけて、再度飼い主さんとお話。

              「このままではダメみたいです。」

              「腎瘻チューブの抜去と併せて、尿管のつなぎ直しが必要です」

               

              飼い主さんも十分理解していただいたようで、「お願いします」の一言。

               

              一度上がった数値も落ち着いたところで、2回目の開腹手術です。

               

              さて、問題の尿管は??

              先週開けた時とは比べ物にならないほど正常に近い血色になっていました。

               

              「これが、だめかぁぁ」

              ため息をついても治りません。

               

              術前の造影検査でも把握していたように、腎臓から5〜6僂泙任魯ぅ韻討詛管でしたので、

              その部分で尿管を切断。

              断端を観察すると、粘膜は炎症により肥厚が半端じゃありません。

               

              つないだ後に炎症で再閉塞なんてことも頭によぎりながら、慎重に膀胱へつなぎ直します。

              (泌尿器の外科では結構あることです・・・)

               

              手術も無事におわり、つないだ尿管には数日間カテーテルを留置して。

              さあ!!塞がるなよー!!!

               

              大丈夫ですき

              腎障害は少し残りましたが、バッチリ!!

              今後は慢性腎臓病として治療を継続していけば良いでしょう。

              あと2〜3年がんばってほしいものです手

               

              おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

               

               

               

              2016.12.09 Friday

              猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その2

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                さあ本番です。

                 

                まずはレントゲン。

                左の腎臓は萎縮・・・機能が期待できません。

                右の腎臓は腫大。しかしいつも見るような結石の存在はありません。

                 

                エコーで見てみると、腎臓内にも尿管内にも閉塞物はちらほらあるのですが、石ではなさそうです。

                問題の右尿管をたどっていくと・・・膀胱までしっかり太く、流れが悪くなっています。

                 

                現時点では閉塞の原因は定かではありませんが、今回の急性腎障害は、

                右の腎臓および尿管に起きた閉塞が問題となっていることが分かりました。

                 

                そうと分かれば、まずは尿流の確保が最優先です。

                お決まりのようになっている感もありますが、全身麻酔をかけて腎瘻チューブの設置です。

                 

                開腹しての腎瘻チューブの設置はそれなりのリスクとなりますが、

                安全にチューブの設置が出来ること、尿管や腎臓を直接見れることなどメリットも大きいです。

                 

                麻酔をかけて開腹。

                さあ尿管はどうなっているのか?

                「!!!」

                膀胱に入る直前で精索(精巣に付属する部分)が絡み付き、絹糸と思われる糸も発見。

                これか!!!

                拘束されている尿管は炎症によりものすごい色になっています。(写真は白黒なので分かりづらいと思います)

                去勢の手術は十数年前。

                その当時は絹糸だよなァ(今ではまず使いませんが)とか考えつつ。

                長年絡み付き尿管の流れを悪くさせていた精索と絹糸を切除。

                合わせて腎瘻チューブの設置を行い、第一段階は終了。

                 

                麻酔の影響も最小限で、翌日より食欲も出始めました。

                あんなに高かった血液検査の数値もグッと下がり、腎瘻からの排尿もたくさん出ます。

                 

                これは期待できます!!

                 

                最終段階の話はその3で。。。。

                 

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                2016.12.01 Thursday

                猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その1

                0

                  14歳になるラグドールのMくん

                   

                  ある日の夜、急患の診察希望でお電話がありました。

                  「どうぞいらしてください」の返事もそこそこに

                  飼い主さんは、Mくんを連れて来院されました。

                   

                  現在の状況とここに至るお話を聞くと・・・

                  他の病院での血液検査で慢性腎不全の末期と診断され、「諦めてくれ」と言われたようで。

                  (医者の先入観は禁物です。いい教訓になります、いつも気をつけていないといけません。)

                   

                  しかし当のMくん、以前のような食欲や元気はないらしいのですが、

                  良く経験的する腎不全末期の子とは違い、診察台の上でも意外としゃんとしています。

                   

                  飼い主さんが撮影した写真でも、凛とした姿で窓から外を見ていました。

                  そんな感じなMくんなものですから、飼い主さんも

                  「そうなんです、末期とは思えないんです。どうにも諦められなくて。」とおっしゃいます。

                   

                  ただし、血液検査の結果を見せてもらうと、腎臓の項目はどれもぶっ飛んでいます。

                   

                  「うーん」考えること2秒。

                   

                  「ちょっとエコー見させてもらえませんか?」と提案。

                   

                  やっぱり!!!!

                  水腎症です。くわえて尿管もものすごく太くなってます。

                   

                  「これ助かる可能性ありますよ」

                   

                  本当は一気に検査を進めたいのですが、夜の急患です。

                  これ以上のしっかりした検査はスタッフもいないとできません。

                   

                  幸いMくんは、排尿は少なめですがしっかりあると言うことなので、

                  明日の朝一で検査をすることを約束して、その日の夜はお家に帰っていただきました。

                   

                  本番はこれから。

                  話が長くなるので、続きは後編へ。

                   

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                  2016.10.28 Friday

                  猫の慢性細菌性膀胱炎 膣の異常 手術

                  0

                    一般的に、猫の膀胱内に細菌感染を起こすことはまれです。

                    それは、健康な猫の尿は細菌の繁殖が起りづらいためです。

                     

                    年をとって慢性腎臓病になり尿比重が低下してくると細菌感染も起りやすくなりますが、

                    それでも犬に比べると少ないと思います。

                     

                    今回は、慢性細菌性膀胱炎で転院してきた11歳になるアメショーのYMちゃんの話です。

                     

                    ウチの病院に来るまで、いくつかの病院で診察を受けていらしたのですが、

                    それぞれの先生方の言うことも統一性が無く、飼い主さんも何を信じて良いのか迷っていました。

                     

                    そこで、今までの経過をゆっくり聞かせてもらい。

                    現状把握のために検査をしました。

                     

                    ただその検査方法もいろんな情報が入りすぎて混乱しているようで・・・

                     

                    尿の細菌検査は、必ず穿刺採尿です(膀胱に直接針を刺して抜きます、腫瘍がある症例は別です)。

                    それ以外の方法は信頼性が低くなっていきます。

                    穿刺採尿>カテーテル採尿>自然排尿(家で採った尿など)の順番できれいな尿が採れます。

                     

                    よほど動いてしまう子はあぶないので違う方法をとりますが、

                    経験的にほとんどの子がすんなりやらせてくれて、幸い事故は一度もありません(あってはならないことですが)。

                     

                    当然このYMちゃんもすんなり終わり、飼い主さんも一安心。

                    そして、尿は・・・細菌でいっぱいです。

                     

                    更には、血液検査、レントゲン、エコー検査とフルに行い。

                    結果、軽度の慢性腎臓病もあることが分かりました。

                     

                    とにかくここまで分かれば、薬剤感受性検査をもとに適切な抗生物質を選びます。

                    1週間後。。。尿の細菌は消えていました。

                     

                    そして待つことさらに1ヶ月。

                    再検査をしてみると・・・やっぱり細菌が・・・再発性の細菌尿です。

                    ちなみに慢性化している細菌尿なので身体も慣れしまい、待っていた間に膀胱炎症状は一切出ませんでした。

                    (想像すると、これって結構怖いことですよね)

                     

                    さあ、原因を追及しなくてはいけません。

                    通常のレントゲン撮影やエコー検査では問題箇所が見つかりません。

                     

                    造影剤を使って尿路のレントゲンを撮ります

                    膀胱は・・・大丈夫。

                    尿道は・・・問題なし

                    いったいどこに原因があるんだろう??

                     

                    ありました!!

                    膣内に通常あるはずの無いスペースが存在していました。

                     

                    外尿道口より排泄されたおしっこは、余分なスペースがあることにより出切らずに溜まってしまうのでしょう。

                    尿が溜まってしまうと細菌は繁殖します。

                    繁殖した細菌は外尿道口より膀胱へ感染していきます。

                     

                    これがYMちゃんの病気のストーリーです。

                     

                    でも、こんなこと猫では初めて見ます(犬では時々みられますが、いろいろなことが起るもんですね)

                     

                    肝心の治療は、簡単な手術で済みそうです。

                    軽度の腎不全がありますが麻酔時間もそれほどかからずいけるので大丈夫でしょう。

                     

                    抜糸までは2週間。

                     

                    さらに待つこと1ヶ月。

                    尿検査です・・・・・細菌いません!!!

                    診断は、当たってました(当たらなくちゃ困ります)

                     

                    飼い主さんとともにみんなで拍手。良かった良かった手

                     

                    腫瘍などの手術とは違い、泌尿器の手術はまずやってみるところから入ります。

                    特に尿漏れや慢性の膀胱炎ではいろいろな要素が複雑に絡み合っており、

                    やってみてダメなら次のことを考えるといった方式を取らざる負えません。

                    なるべく1発で決めようとしていますが、残念ながらあります。

                     

                    なので、もちろん自信はあるのですが

                    このような症例での尿の感染の再チェックはドキドキするのでやりたくありません、

                    が、逃げてもダメなのでやっぱりやります。

                     

                    「ダメなら先生また考えてくれるでしょ」と飼い主さんは言ってくれますが。

                     

                    知らなくて済まされるのであれば・・・・

                    ほんと身体に悪いです。

                     

                    とにかく、飼い主さんも大喜び。

                    よかったァ矢印上

                    一件落着。

                     

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                    2016.09.27 Tuesday

                    犬や猫の尿管閉塞・水腎症の対応は緊急です。

                    0

                      もうルーティーンの様な病気になっている尿管結石・水腎症(もちろん数は少ないですが犬でも起ります)。

                       

                      知り合いの開業の先生からの紹介の場合は、その先生から電話があり直接話が出来るのでまだいいのですが。

                       

                      飼い主さん自身が来院される場合。

                      かかりつけの病院で診断されて、治療をするものの手に負えず。。。

                      数日もしくは数週間経って、インターネットで探してウチの病院へ相談に、調べてみるとかなり進行。。。

                      そんなケースは決して多くはないですが・・・あります。

                       

                      結石ばかりではなく何らかの問題により尿管が閉塞すると、水腎症(腎臓内に尿が貯留している状態)になります。

                      今回は水腎症の話をちょっと詳しく書こうと思います。

                       

                      人間も犬の猫も腎臓は左右2個あります。(2個とも正常に機能して100%)

                      片方の腎臓が全く機能しなくなっても、もう片方が正常なら50%障害ですので、

                      BUNやCreと言った腎臓の項目は上昇しません。(一般的に75%障害で上昇してきます)

                       

                      そのような場合は、症状も出ないことがあるので飼い主さんはもちろん獣医でさえ気がつかないことがあります。

                      別の病気で検査をしてみると水腎症が偶発的に見つかるパターンがこれです。

                       

                      このパターンでは、原因は何であれ水腎症の腎臓が機能しているのか機能していないのかを調べる必要があります。

                       

                      機能を有している水腎症(腎臓)であれば早急に手を打たないとダメ、ほっておくとその腎臓は機能を失っていきます。

                      機能していない水腎症は、それはそれで感染を起こし膿腎になってしまう可能性が高いので将来的に腎臓摘出をおすすめします。

                       

                      何れにしてもどうなっているのかを早急に判断することが重要となってきます。

                      「BUNやCreが上昇していないから大丈夫」そんなこと一切ありません!!

                       

                      次に、結石などにより尿管の流れが悪くなって水腎症になっているパターン。

                       

                      これは、ほとんどの子で腎臓の項目が上昇しており、

                      元気が無い、食欲が無い、といった症状も出ていることが多いので、飼い主さんも獣医もすぐに分かります。

                       

                      症状も出ているのですから早急に治療を開始しなくてはいけません。(当たり前です)

                       

                      要は、おしっこが流れないのです。

                      ただ点滴をしているだけで良くなればいいですが、

                      良くならなかったときには尿の排泄ルートを確保することが重要です(それをしないと治りません)。

                      経験的にこのパターンの症例はほとんど初日に手を打つことが多いです。

                       

                      「水腎症なんだけど、どうしたらいいんでしょう?」と飼い主さんからも獣医さんからも相談を受けますが。

                      いつも決まってこう言います。

                      「すぐに対処しましょう。連れてきてください。」

                       

                      1つの身体に2つしかない腎臓。

                      一度悪くなってしまうと、もとには戻らない臓器です。

                      大事にしないといけません。

                       

                       

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