2019.03.29 Friday

猫 尿管閉塞(尿管結石)水腎症 腎臓摘出手術

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    今回の子は、引っ掛け問題みたいな病態でした。

     

    毎年、健康診断を行なっている

    猫のMちゃん10歳。

    昨年の画像診断では、すでに左腎臓内に結石があることがわかっていました。

    結石はあっても、現在は問題を起こしていないのでとりあえずこれに関しては経過観察中。

     

    そんな、Mちゃん。

    1週間前から食欲がなくなったということで来院。

     

    もともとの病気がわかっていましたから、みんなで顔を合わせて一言。

    「検査しましょう!!」

     

    通常、このくらいの稟告(飼い主さんからの問診)でいきなり検査というのはあまりない事ですが。

    健康診断をして、状況がわかっているMちゃんの場合は、別です。

     

    まずは、エコー。

    腎臓の中身を見るには一番適してます。

    す、る、と・・・

    左腎臓.jpg

    左の腎臓はバッチリ水腎症。

    尿管を追っていくと・・・

    尿管.jpg

    矢印のところに、結石がこれまたバッチリと詰まってます。

    右の腎臓は・・・

    右腎臓.jpg

    大丈夫!!

     

    続けて行なっているレントゲン検査でも、左の尿管領域に結石の存在が確認できます。

     

    しかし、?血液検査では・・・

    BUN 32  Cre 2.2  SDMA 15

    まあちょっとは上がってるけど、全然平気。

    ?????

     

    いつもの、猫の尿管閉塞だと腎臓の値は思いっきり上がってるのに?

    Mちゃん、こんなに水腎症なのに上がってない。

    こんな程度の値で?食欲不振??

     

    なんかちょっとおかしな感じです。ただし、腎臓は見ての通りの尿管閉塞ー水腎症のパターン。

    うーん?????

     

    辻褄が合わないことも病気を見ているとよくあることですが、このパターンは初めて。

    とにかく通院治療して1日経過観察。

     

    翌日の検査では、状況変わらず(当たり前か)。

    「状況は変わらないので、とにかく1つずつ整理していきましょう」

    「明日、開腹して尿管にある結石の摘出をおこないます」とインフォームド

    飼い主さんも状況を理解していただき、手術スタートです。

     

    さあ、いつものように尿管へアプローチ。

    結石は??っと。っとぉ??????

    ありません、予想していたところから腎臓側に動いています。

    腎臓の出口の腎門部の結石って、一番摘出困難。

    腎門部では腎静脈の真隣に尿管が走行しています、その尿管を慎重に露出。

    パンパンに膨らんでる腎盂と尿管ならともかく、

    Mちゃんの結石も指では触れますが、切れません。

    切ってもいいけど相当危なっかしい。

     

    仕方がないので、術中に飼い主さんに電話連絡。

    腎瘻チューブで逃げることになりました。

    果たして、左腎臓が機能回復することで食欲は戻るのか??

    腎瘻チューブという積極的な方法ではっきりと把握できるはずです。

     

    が・・・・・

     

    術後、出ません。

    腎瘻チューブからおしっこ出ません。

    えーーーー!!!死んでるのこの腎臓!!!!!

    もちろん食欲もいまいちのまま。

     

    他に原因がありそうです(・_・;

     

    猫の食欲不振、一般血液検査でのってこない病気といえば・・・・・

     

    そう膵炎です。

    改めて、外注検査で確認すると上昇しています。

     

    「こんなことあるんだなあ。」先入観って注意しないといけないと改めて思いながら。

    結果、腎瘻チューブまで行ったからかなり正確な診断ができたことも事実。

     

    腎瘻チューブに関しては、過去には設置後4日目に排泄が始まった症例もいるので、

    4日間は待つことにして、保留。

     

    猫の膵炎は、とにかく食べさせることで治していきます。これはこれで、術後2日目から徐々に食べだして・・・良さそう。

     

    ただし、ここに来てさらなる問題。

    IHA(免疫介在性溶血性貧血)の併発!!!

    日に日に赤血球数が下がっていきます。

     

    と待つこと4日目、赤血球数もこれ以上待てないところまで来て、腎瘻からの排泄もない。

     

    改めて、飼い主さんとの話し合い。

    「腎瘻チューブを除去しただけでは、水腎症が残る可能性があります」

    「水腎症が残りIHAが継続した場合は、免疫抑制も必要になるため、膿腎症のリスクがさらに高くなります」

    「左の腎臓が機能していないことは明白なので、腎瘻チューブ除去と一緒に腎臓摘出をお勧めします」

    「そして摘出後は、軽度腎障害が残ると思います」

    なんだか、大掛かりなことになって来ましたが、これ以上は待てません。

    飼い主さんも「お願いします」の一言。

     

    腎瘻チューブ除去とともに腎臓摘出も行なって、無事に終了。

     

    腎瘻チューブ設置前に静脈性尿路造影(IVP)を行ってもよかったと思いますが、

    結石で閉塞して機能を止めていると増強されないこともあるため、最終的には今回行なった方法での診断的治療を説明するでしょう。

    ただ、犬ではこのような病態を経験していますが、猫でもあるなんて。

    っていうか、この年の猫で残された腎臓がこんなに機能してしてるなんて!!ちょっとびっくり。

     

    腎臓摘出後、翌日からモリモリ食べ始め、心配していた赤血球の壊れ方もほぼストップ。

    機能を廃絶した左の腎臓が悪さしてたのか??

    摘出して、ものすごく改善してるのですからそうとしか考えられませんが・・・

    当のMちゃんは、無事に退院もできて、抜糸の時にはすこぶる元気。

    心配していた腎障害も正常の上限〜極軽度。何もしないで経過観察で良さそうです。

     

    本当に、勉強になります。

    「ひっかけ問題」変にひっかかってドツボに嵌るなんてこと、自分では幸いありませんが時々みます。

    気をつけて、やるべきことを慎重に考えて。

     

    これからも、頑張りまーす。

     

    頑張りついでに、お知らせ。

    この4月から、大学病院に戻ります。

    水曜日はいないことも増えますので、よろしくお願いいたします。

     

    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

     

    2019.02.26 Tuesday

    犬の尿管閉塞 シュウ酸カルシウム結石 クッシング症候群 膀胱結石・尿道閉塞

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      この頃ウチの病院での流行り病は、

      「犬のシュウ酸カルシウム結石による、尿管閉塞」

      昔からありましたが、昨年くらいから猫の症例の合間に、診ることが多くなってきました。

       

      シュウ酸カルシウム結石といえば、

      Mシュナウザーやシーズーは出来やすい犬種として挙げられます。

      ただ、猫の場合とはちょっと違いますので、紹介します。

       

      さて今回は、以前からクッシング症候群の治療を行っているシーズーのIちゃん。

       

      言わずと知れた、犬のクッシング症候群。

       

      体内では、副腎という臓器から、ステロイドホルモンが分泌されています。

      体がストレスなどに対応するために欠かせないステロイドホルモン。

      クッシング症候群は、そんなステロイドホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。

       

      ステロイドが過剰に分泌されると、

      多飲多尿、多食、脱毛、傷がくっつきにくい、皮膚の石灰化、易感染性などの症状が出てきます。

      そしてその中の一つ病態として、カルシウム結石が出来やすくなります。

      (憎っくきあいつ・・・)

       

      そんな病気を持つIちゃん、最初は膀胱結石による尿道閉塞から始まりました。オス犬なので結石が尿道につまりおしっこが出にくくなってしまったのです。

      カテーテルで詰まった石を膀胱内へ押し戻し。

      っと一連の処置を行い。

      レントゲン検査では、膀胱内の結石はもちろん、腎臓内にも結石がしっかりと。

       

      飼い主さんは、「このままじゃまた詰まるから、先生どうにかしてあげられないかな?」って・・・

       

      そうはいってもクッシング症候群、正直なるべく切りたくない。でもな、う〜〜ん。

      「クッシングもコントロールできてるし、やってみますか!」

      通常ウチの病院で、膀胱切開の術後にカテーテルを膀胱内に留置しておくことはほぼありませんが、

      切った膀胱がくっつきにくいなんてことが起こると最悪なので、今回はしっかり留置。

      漏れないことも確認して。

       

      退院の朝。

      「良かったですね」「先生ありがとう」なんて会話の最後に。

      「腎臓内にも結石あるからね、落ちて詰まらないといいですね・・・」

      「でも、やりようがないからここはみんなで祈りましょう!!」

      って、頭を撫でて無事帰宅。

       

      の、2ヶ月後。

      なんだか調子が悪いってことで来院。

      検査してみると、今度は右の腎臓が水腎症、尿管でバッチリ結石が詰まっています。

       

      「俺があんなこと言っちゃったから詰まったのか」

      「あんなにお祈りしたのに」って神様を恨んでもはじまりませんが、恨みます。

      写真:矢印のところに結構大きな結石があります。

       

      元々、クッシング症候群から慢性の尿路感染症があるため、尿の流れが滞った事で、発熱を伴い、さらに状態が悪くなっています。

      ただ幸い、腎臓の数値は正常値。

       

      この状況普通なら、尿管切開によって結石の摘出も考えるところですが、

      相手は、Iちゃん。

      万が一うまくいかなかった時を考えて。(その時の後の展開は、本当に最悪なので)

      抗生物質で感染を抑えつつ数日経過をみることに。

       

      祈ること1週間

      結石動いてます!!エコーでも確認、水腎も縮んでる!!!

      抗生物質も効いて熱もコントロールでき、食欲も元気も出てきました。

      写真:結石、動いてます!!

       

      これならもう少し待ってみても良さそうです。

      そしてさらに強めにお祈り・・・

      写真:あー!!膀胱までもう少し!!!

       

      時間はかかりましたが、膀胱内へ無事に到着。

       

      実はこの後、落ちた結石が尿道に詰まり、もう一度膀胱切開しました。(その時は膀胱内に多数の結石が存在)

      が、尿管切るよりマシ。

      通常なら会陰尿道瘻の手術も検討したいのですが、肝心の会陰部の皮膚は石灰化。

      尿道粘膜つかなかったら・・・最悪です。

       

      今回の場合、結石は尿管を通過してくれましたが、結局膀胱切開は2回。

       

      そんなIちゃん、今でも調べれば、尿路感染症あると思いますが、ずっと抗生剤やって肝心な時に効かなくなっても困ります、長期的には、腎臓に負担がかかると思いますが…短期的には、経験的に尿の流れが滞る事がなければあまり問題が起きることもありません。

      菌に目くじら立ててもこういった病気の場合はイタチごっこ。

      SUBシステムなんてもってのほか。

      クッシングって本当に困った病気です

       

      が、クッシングを持っていなくても、尿管閉塞を起こした症例ももちろんいます。

      犬の場合、多発した結石を持ってると大なり小なり尿の慢性感染持っているケースがほとんど。プラスアルファの手が出せる感染の原因があれば、積極的に除去する様に対応していますが、猫とはやっぱりちょっと違うようです。

      その話は、また今度ゆっくりと。

       

      気が休まりません。

      困ったら相談してください。

       

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      2018.08.31 Friday

      日本獣医腎泌尿器学会へ出席してきました

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        8月19日、病院はお休みさせていただき毎年恒例の日本獣医腎泌尿器学会へ出席してきました。

        品川で開催。電車1本で行けるので助かります。

         

        この学会(どの学会もそうですが)、各大学などの有名な先生が一堂に会します。

        そんなところに毎年通って思うことは、「まあ皆さんよく知ってる」

        当たり前ですが、病気のこと体のこと本当によく知ってる。

         

        私も追いつこうと日々勉強していますが・・・刺激になります。

         

        さらには、畑は違うのですが、国立大学の基礎研究を行ってる先生方。

        頭の出来が違いすぎて話の最中に気が遠のきそうになりますが、必死で食らいついてなんとか、なんとか少しは理解。

         

        1次診療といえども、専門的なこともかじってる以上、生涯精進が続きます。

         

        さて、そんな刺激的な1日をおくれる学会の今年のテーマは、「腎臓泌尿器疾患の診断と治療」

        学会としては、今後ガイドラインの作成に向けて動き出すようです。

         

        海外では、病気に対する診断・治療ガイドラインというものが存在し、年単位で手が加えられ日々更新しています。

        我々もこのような海外の情報を手に入れて、日々の診療に役立てているのですが。

         

        海外での飼育環境や動物種は日本と違うこともあり、日本版のガイドラインができることは喜ばしいことです。

        誰でも手に入る指針みたいなのもがあれば、獣医診療の全体的な底上げにもつながり、

        飼い主さんとペットがどこの病院でも一定以上の診療を受けられるようにもなります。

         

        専門的な診療を行う病院も年々増えてきています。

        これからの獣医療が良い方向に進んでくれることが、獣医師・飼い主・動物にとって大事なことかと思います。

         

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        2018.03.30 Friday

        猫の尿管結石・腎結石 水腎症 SUBシステム 手術

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          おなじみの尿管結石、水腎症。

          これぞ、SUBシステム症例(いいのか悪いのか?)。

          というような感じの子が来たので、ご紹介します。

           

           

          来院したのは、6歳になる雄猫のTちゃん。

          飼い主さんは、古くから当院に掛かられている方で、猫のこともよく知っています。

           

          来院した理由は、

          「最近、よく水を飲むんです」とのこと。

           

          若いし、体格いいし、「糖尿病かな??」なんて感じで血液検査をしてみると。。。

          BUN 71  Cre3.2  IP7.9・・・腎臓やられてんじゃん!!_| ̄|○

           

          すぐさまエコーとレントゲン

          わかりずらいですが、左右腎臓の中と尿管の位置に細かな結石が多発。

           

          エコーでは、左右腎臓ともにしっかり水腎症。

           

          決まりです。詰まってます。

          尿管閉塞といえば、このところ紹介症例ばかりでしたが。

          まさかうちの子がガーンネコ

           

          幸い、腎臓の数値もそれほど上昇しておらず、食欲もあるとのこと。

          尿検査でも、細菌感染は認められません。

           

          「そういうことなら」と、話し合い。

          「細かな結石は全て取ることはできません、SUBシステムが適応と考えます」

          とお伝えすると(実際にはものすごく詳しく話しますが)

          飼い主さんも、すぐに状況を理解していただき「お願いします」とのこと。

           

          その日の晩には、手術となりました。

           

          ここ数年、SUBシステムを使用して経験させてもらいましたが、

          何しろ細菌感染が命取りとなります。

          最初から感染を起こしている子もいるので、抗生物質で叩き、培養検査が陰性になって、

          それから入れてるのに、再度感染を起こします。

           

          感染を起こすと、腎機能にも影響が出ます。

          今回のような、感染の無い状況での閉塞は、間髪入れず設置する。

          どうも、その手しかないようです。

           

          当のTちゃんは、ゆっくりと腎機能も回復し、1ヶ月後にはCre1.9。

          入れた直後から、頻尿が継続していましたがそれも治り、調子も良さそう。

           

          まだ若いですから、なんとか長くもってもらいたい。願うばかりです。

           

           

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          2017.12.30 Saturday

          長期間水腎症になっていた猫 尿管結石 尿管閉塞 手術

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            私にとっては、全然久しぶりではない尿管結石。

            ブログに書くのは、久しぶりな感じです。

            そして、今年の締めくくりは、やっぱりこの病気でしょう(いいんだか悪いんだか)

             

            今回の子は、長年水腎症のまま経過観察されていた猫のHちゃんです。

             

            最初は、獣医師会でお世話になっている先生からの電話でした。

            「尿管結石の猫が、セカンドオピニオンで来てるんだけど、先生の方が詳しいから紹介しておいたよ」

            「はーい、わかりました。話を聞いてみます。」

             

            程なく、Hちゃんを連れた飼い主さんがいらっしゃいました。

            早速話を聞いてみると・・・

            さかのぼること5年前、結石の閉塞疑いで急性腎障害に。

            診断も曖昧だったらしく治療らしい治療もせず。

            その後なんとか持ち直して経過観察。

            昨年も一度具合が悪くなり、夏には2次診療施設も受診。

            その施設での診断も尿管閉塞、腎障害。しかしなぜかすぐには治療困難とのこと??

            そしていよいよ当院に受診。(ここまで長いなぁ)

             

            当のHちゃんは、見た目は普通(ぐったりというわけではありません)。

            嘔吐があるようですが、食欲もそれなり。

             

            肝心の血液検査では、Cre値4.4(しっかりとした腎不全です)

            そしてレントゲン

            膀胱の手前の尿管と思われる場所に結構な大きさの結石。右の腎臓内にも小さな結石。

            うーん、これが原因っぽいね ガーンネコ

             

            続いては、エコー検査。

            左の腎臓は・・・久しぶりに診るパンパンの水腎症。

            尿管を追っていくと

            しっかりと?!結石が詰まってます。尿管の太さも2.2mm。

            続けて検査した右の腎臓は萎縮して変形しています(それでも頑張って動いてるんだろうな)。

             

            っとここまでの検査で、飼い主さんと相談。

            「昨年の2次診療施設でもこの状態であれば、左の腎臓は機能していない可能性も高いと思います。」

             

            「仮に右の腎臓1個で頑張っていて、Cre値がこの値であればその病態は慢性腎不全となりますので、麻酔をかけて手術をしても術後に腎不全の悪化が起こるかもしれません。」

             

            「とにかく、左の腎臓が生きてるのか否かで、今後の治療が変わって来ますので、もう少し突っ込んだ検査をしませんか?」

             

            ということで日を改めて、

            IVP(静脈性尿路造影)・・・静脈内へ造影剤を投与すると腎臓に集まり、機能しているかどうか判断できます。

            教科書的には、こんな値の腎臓で行うのは否定的ですが、一番負担なく検査できるのはこの方法。

            通常は投与直後から5分後くらいで腎臓が造影されますが、1時間も待てばいけるでしょう。

             

            どうかな?腎臓染まってくるかな?

             

            右の腎臓は早い時間から造影されているので、バッチリ(懸命に頑張っているようです)。

            そして待つこと45分。

            左の腎臓も造影剤で増強されてきました!!!どうやら機能していそうです矢印上

             

            こうなれば、手術しても期待がもてます。

            手順は以下のとうりです。

             

            1、尿管切開によって詰まっている結石を取ります。膀胱側の尿管の疎通が確認できれば、尿管を縫って閉腹。

            2、ダメならその場で尿管転植(尿管を膀胱へつなぎなおします)。

            3、術後そのまま良好なら経過観察。

            4、尿管切開部が炎症等により閉塞した場合は、もう一度手術で2に戻ります。

             

            尿管に詰まった結石を取るだけでも、このような準備と行える技術が必要となります。

             

            残念ながら、泌尿器の外科は1回で終わらないこともしばしばあります。

            「じゃあ最初から、尿管転植やればいいじゃん」と思うかもしれませんが、

            それはそれで、膀胱につないだ尿管の出口が炎症で閉塞することもあります。

            したがって、最小限の方法で終わることが、ダメだった場合の次の手術をしやすくさせます。

            SUBなどのデバイスの使用は極力避けること、使わないと助けられない子の最終手段となります。

             

            手術は、無事終了。

            膀胱側の尿管は結構細かったですが、疎通も確認でき尿管を縫って終わり。

            後は、腎臓が縮んでくれることを祈るのみ。

             

            手術翌日・・・若干小さい。少なくとも悪化はしていない。

            3日目・・・そんなに変わらないけど

            7日目・・・おぉぉぉ!!!腎臓縮んでる!!!!

             

            そして、術後約3週間ほとんど正常な腎臓、Cre値も少しずつ改善。手

             

            Hちゃん診察台で緊張気味ですが・・・Docomo_kao8

            食欲も元気もあって、経過良好。

            よくここまで、頑張ってたね!よかったよかった!!

            これからも治療は継続ですが、とりあえず一山超えました。

             

            今年も、いろいろなことがありました。

            うまくいった子ばかりではありません、助けられなかった子もいます。

            でも、「とにかく目の前の子をどうにかする。」この積み重ねしかありません。

             

            年明けには、やらなくちゃいけない手術もすでにいくつかあります泣き

            スタッフ一同、来年も頑張ります。

            みなさま、よいお年をお迎えください。

             

            おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com


            2017.04.27 Thursday

            猫の尿管閉塞 手術 SUBシステムって・・・

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              今年に入って、

              獣医師会の集まりなどで懐かしい同級生や先輩方、近隣の先生方ともお会いする機会がグッと増え。

               

              「泌尿器やってるんでしょ!!なんかあったら頼んでいい?」

               

              「もちろん僕で良ければ、精一杯やらせていただきます矢印上

              なんてやり取りが頻繁に行われるようになり。

               

              すこし勉強している先生方は・・・

              「SUBシステムなんかもやるの?」と

              かなり積極的な治療法にも興味津々。

               

              懇親会などのお酒の席では、あまり詳しく詰めた話も出来ませんので、

              後日、症例を紹介してもらい見学に来られる先生には、私なりの考察をお話しさせていただき、

              1次診療の臨床家同士でディスカッション。

              泌尿器に関わらず、かなり込み入った会話をさせてもらっています。

               

              そんな、SUBシステム。。。

              (以前ブログに掲載したものですhttp://okubo-vet.jugem.jp/?eid=865564

              何十例なんて多い数ではありませんが、当院でも使用している子がいます。

               

              そんな子達のほとんどを今も自分自身で管理させてもらい

              わかってきたのは・・・

               

              「やっぱり入れないで済むのであれば、入れない方が絶対に良い」ということです。

               

              「なるべく尿管切開や尿管転植により解決させる。人工物は最終手段。」

              基本的に最初からこの理念の元で治療を行っているので、入れざる負えない症例にしか使用していません。

              わかりやすく言い換えれば、SUBシステムを使用しなければ助けられない症例のみに使用しています。

               

              他の先生のところではどうかわかりませんが、そんな状況の中でも、

              程度の差はあるものの全症例で設置後になんらかの問題が起っています。

               

              慢性的な血尿、異物への生体反応、細菌感染などなど・・・

               

              ウチの病院の場合、飼い主さんには設置後に予想できる有害事象の説明はもちろん、

              なんでSUBを使用しないとダメなのかを徹底的に話し合い理解してもらっています。が・・・

              それでも、何か起きると飼い主さんと一緒になって悩み、落としどころを探します。

               

              「その場の救命」が最優先事項であるため、ある程度は仕方が無い事ですし、

              助けられるようになった症例が増えたことも事実です。

              デバイスの使用・・・なかなか難しい選択です。

               

              要は、病気がなくなってくれれば一番良いのですが。

              そうはいきません。

              ただし、何でもかんでもSUBシステムというのは、ちょっとどうかと思います。

               

               

              おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

               

               

               

               

               

               

              2017.02.11 Saturday

              ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の治療薬 

              0

                最近、ネコの飼い主さんとよく話すこの話題。

                 

                特にウチの病院は腎不全を扱っている件数も多いので・・・

                皆さん気になってます。

                 

                「先生、あの記事見ました?!!」

                「うちの子も長生きできるかしら?!」

                「いつ頃薬がでるんでしょうかね?」

                 

                などなど

                 

                数ヶ月前に発表された東京大学による研究がそれです。

                http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08431130W6A011C1TJM000/

                 

                ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の多くは間質性腎炎であることは以前から分かっていたことですが、

                その原因については不明でした。

                 

                現在まで「ネコは腎不全になる生き物なんです」としか言いようがなかったのですが、

                東京大学の研究で原因が解明されてきました。

                今後数年かけて研究が進み、実用化されることを期待します。

                 

                 

                それとは別にこの4月に販売予定で、動物用薬として認可された「ラプロス」という薬。

                東レさんが開発しました。

                http://www.nikkei.com/article/DGXLRSP434073_T20C17A1000000/

                 

                この薬の主成分である「ベラプロストナトリウム」は

                もともと医学領域で慢性動脈閉塞症や原発肺高血圧症の治療薬として使用されています。

                 

                獣医学領域でも、循環器の分野でこの薬を使用した発表がみられ、

                今回の研究で、ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の進行を抑制させる効果が分かったようです。

                 

                ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)における治療の選択肢になることは間違いありませんし、

                もちろん当院でも使ってみようと思いますが。

                副作用や効果、本当の投与量などの検討は、

                臨床の現場で数ヶ月から数年間経過してみないと分からないと思います。

                 

                さらに細かな話をすれば・・・

                 

                この薬だけ飲めば良いわけでもありません。

                今までのような維持療法も行いつつの、もう一つの選択肢です。

                 

                腎障害は、間質性腎炎に限ったことではありません。

                その他にも腎炎が存在します。

                 

                このような薬が出ると、「BUN,Creが高い症例には何でもかんでも飲ませる」なんて風潮が・・・

                いうまでもなく、ちゃんと診断してこその治療薬です。

                 

                まあ、とにかく病気が解明されることは良いことです。

                私が診ているネコちゃん達には、1日でも長く生きてくれることを目指していますので、

                このような薬が出てくれることは喜ばしい限りですね。

                 

                おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

                 

                 

                 

                 

                 

                2016.12.22 Thursday

                猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その3

                0

                  腎臓の数値もだいぶ下がったMくん。

                  食欲も安定し始めました。

                   

                  こうなると最終段階です。

                   

                  尿管の流れはどうなっているのか?

                  腎瘻チューブから直接造影剤を注入し確かめてみます。

                   

                  すると、尿管の炎症はものすごいことになっていますが、なんとか膀胱まで達しています。

                   

                  おおっ!!!

                  このまま腎瘻チューブの抜去で終われるか?

                   

                  試しに腎瘻チューブを閉じて24時間・・・

                  自力排尿で腎臓の数値が上がるのか? キープなのか?? 下がるのか???

                   

                  上がりました_| ̄|○、このままの尿管ではダメなようですショボン

                   

                  この結果をうけて、再度飼い主さんとお話。

                  「このままではダメみたいです。」

                  「腎瘻チューブの抜去と併せて、尿管のつなぎ直しが必要です」

                   

                  飼い主さんも十分理解していただいたようで、「お願いします」の一言。

                   

                  一度上がった数値も落ち着いたところで、2回目の開腹手術です。

                   

                  さて、問題の尿管は??

                  先週開けた時とは比べ物にならないほど正常に近い血色になっていました。

                   

                  「これが、だめかぁぁ」

                  ため息をついても治りません。

                   

                  術前の造影検査でも把握していたように、腎臓から5〜6僂泙任魯ぅ韻討詛管でしたので、

                  その部分で尿管を切断。

                  断端を観察すると、粘膜は炎症により肥厚が半端じゃありません。

                   

                  つないだ後に炎症で再閉塞なんてことも頭によぎりながら、慎重に膀胱へつなぎ直します。

                  (泌尿器の外科では結構あることです・・・)

                   

                  手術も無事におわり、つないだ尿管には数日間カテーテルを留置して。

                  さあ!!塞がるなよー!!!

                   

                  大丈夫ですき

                  腎障害は少し残りましたが、バッチリ!!

                  今後は慢性腎臓病として治療を継続していけば良いでしょう。

                  あと2〜3年がんばってほしいものです手

                   

                  おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

                   

                   

                   

                  2016.12.09 Friday

                  猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その2

                  0

                    さあ本番です。

                     

                    まずはレントゲン。

                    左の腎臓は萎縮・・・機能が期待できません。

                    右の腎臓は腫大。しかしいつも見るような結石の存在はありません。

                     

                    エコーで見てみると、腎臓内にも尿管内にも閉塞物はちらほらあるのですが、石ではなさそうです。

                    問題の右尿管をたどっていくと・・・膀胱までしっかり太く、流れが悪くなっています。

                     

                    現時点では閉塞の原因は定かではありませんが、今回の急性腎障害は、

                    右の腎臓および尿管に起きた閉塞が問題となっていることが分かりました。

                     

                    そうと分かれば、まずは尿流の確保が最優先です。

                    お決まりのようになっている感もありますが、全身麻酔をかけて腎瘻チューブの設置です。

                     

                    開腹しての腎瘻チューブの設置はそれなりのリスクとなりますが、

                    安全にチューブの設置が出来ること、尿管や腎臓を直接見れることなどメリットも大きいです。

                     

                    麻酔をかけて開腹。

                    さあ尿管はどうなっているのか?

                    「!!!」

                    膀胱に入る直前で精索(精巣に付属する部分)が絡み付き、絹糸と思われる糸も発見。

                    これか!!!

                    拘束されている尿管は炎症によりものすごい色になっています。(写真は白黒なので分かりづらいと思います)

                    去勢の手術は十数年前。

                    その当時は絹糸だよなァ(今ではまず使いませんが)とか考えつつ。

                    長年絡み付き尿管の流れを悪くさせていた精索と絹糸を切除。

                    合わせて腎瘻チューブの設置を行い、第一段階は終了。

                     

                    麻酔の影響も最小限で、翌日より食欲も出始めました。

                    あんなに高かった血液検査の数値もグッと下がり、腎瘻からの排尿もたくさん出ます。

                     

                    これは期待できます!!

                     

                    最終段階の話はその3で。。。。

                     

                    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

                    2016.12.01 Thursday

                    猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その1

                    0

                      14歳になるラグドールのMくん

                       

                      ある日の夜、急患の診察希望でお電話がありました。

                      「どうぞいらしてください」の返事もそこそこに

                      飼い主さんは、Mくんを連れて来院されました。

                       

                      現在の状況とここに至るお話を聞くと・・・

                      他の病院での血液検査で慢性腎不全の末期と診断され、「諦めてくれ」と言われたようで。

                      (医者の先入観は禁物です。いい教訓になります、いつも気をつけていないといけません。)

                       

                      しかし当のMくん、以前のような食欲や元気はないらしいのですが、

                      良く経験的する腎不全末期の子とは違い、診察台の上でも意外としゃんとしています。

                       

                      飼い主さんが撮影した写真でも、凛とした姿で窓から外を見ていました。

                      そんな感じなMくんなものですから、飼い主さんも

                      「そうなんです、末期とは思えないんです。どうにも諦められなくて。」とおっしゃいます。

                       

                      ただし、血液検査の結果を見せてもらうと、腎臓の項目はどれもぶっ飛んでいます。

                       

                      「うーん」考えること2秒。

                       

                      「ちょっとエコー見させてもらえませんか?」と提案。

                       

                      やっぱり!!!!

                      水腎症です。くわえて尿管もものすごく太くなってます。

                       

                      「これ助かる可能性ありますよ」

                       

                      本当は一気に検査を進めたいのですが、夜の急患です。

                      これ以上のしっかりした検査はスタッフもいないとできません。

                       

                      幸いMくんは、排尿は少なめですがしっかりあると言うことなので、

                      明日の朝一で検査をすることを約束して、その日の夜はお家に帰っていただきました。

                       

                      本番はこれから。

                      話が長くなるので、続きは後編へ。

                       

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