2018.05.01 Tuesday

ダックスの椎間板ヘルニア 手術

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    昔と比べて、ダックスが減ったからなのか?

    椎間板ヘルニアの手術をすることが減った気がします。

     

    多いときは年に数頭行っていたのですが、最近はご無沙汰。

    犬種によって出る病気も違ってきますので、全てに対応していくのは本当に大変です。

     

    そんな中、いつも元気に来院しているRちゃん。

    突然、後ろ足がおぼつかなくなり、立ってるのもやっと。

    神経学的検査からも、椎間板ヘルニアが疑われました。

     

    クレード分類では、G3。

    まずは、入院してもらい薬を点滴、24時間の改善を診てみます。

     

    鳴くことも無く、お利口さんに治療を受けていたRちゃん。

    さて、薬の効果の程は??

     

    「いまいち」です。

     

    こうなると、飼い主さんと相談。

    MRIを撮影してきてもらい、ちゃんとした診断をします。

    本当に椎間板ヘルニアか?椎間板ヘルニアならどこでどのくらい圧迫があるか?

     

    結果は・・・

    見事に胸椎の12番と13番の椎間に重度の圧迫がみられました。

    画像で見る限り、それは本当に重度の圧迫で、症状の軽さにびっくりしてしまうほど。

    実際、MRI撮影日には、結構しっかり立って不安定さも無くなっていました。

    「結構治ってきてるなぁ」「手術どうしようかなぁ」

     

    翌日は、ちょうど脳神経科の先生の講義でしたので、その先生にも画像をみてもらい相談。

     

    「重度の圧迫はあるんですけど、症状が軽すぎて・・・」

     

    経験的にも手術をすると一時的に症状は悪くなるでしょうし、

    このケースでは、よくなってきても症状はしばらくの間同じくらいかもしれません。

    やった結果と、やらなかった結果にあまり差が感じれないかもしれないので、

    飼い主さんの理解が相当あってくれないと

    私としても手術の提供が難しいんです。

     

    「先生の気持ちわかります、獣医学的にはやった方がいいけど、微妙ですよね・・・少し様子みますか!?」

    「ですよね、やっぱり先生もそうですか。」

     

    なんてやり取りをして、悶々としながら帰宅。

     

    翌日、再度腹を割った話を飼い主さんとして、家での様子をみてもらうために一時退院(ケージレストは継続です)

    週末みてもらい、ご夫婦で相談してもらうことにしました。

     

    そして、再診。

    「先生やっぱり、左後肢に麻痺が残ってるみたいです、手術してください」と飼い主さん。

     

    診察してみると、退院時よりも若干麻痺が悪化。

    「わかりました、やりましょう!!」

     

    早速手術です、以前のブログにも書いたように脊髄神経の周りの脊椎(骨)に穴を開けます。

    慎重に・・・すると、MRIでみてたとうり、椎間板物質が脊髄神経を覆うようにくっついてました。

    その椎間板物質を取り除いて無事終了。

     

    そして肝心の術後のRちゃんですが、みるみるうちに改善、ホッとしました。(飼い主さんよりホッとしてるかも汗

     

    元気な姿で、尻尾もブンブン降っての帰宅となりました手

    こういう外科って、やってても気持ちがいいです。

     

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    2018.01.27 Saturday

    犬の脳炎 GME(肉芽腫性髄膜脳炎) 壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎) 治療

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      問い合わせが多い、脳炎の治療。

      前回のブログからずいぶん経過していますので、経験して分かった治療に関しても書こうと思います。

      が、それに先立ち、ショートレクチャー。

       

      脳炎治療の基礎知識

      • 脳炎には、やられている部位により種類がいくつかあります。
      • 現時点では、脳炎の種類によって推奨されている治療法が異なります。

       

       

      壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)を患って、うちの病院に居候していた黒パグの珊瑚。

      先日のブログにも書きましたが、昨年の秋に亡くなりました。

       

      実はこの珊瑚、当初はステロイドとシクロスポリンでコントロールしていたのですが、

      何しろ副作用に悩まされ、当時は飼い主さんと「どーするかなー??」って2人で悩んでいました。

       

      もちろん、けいれん発作は起こるので発作を止める薬は続けていましたが、

      仕方がないので、免疫抑制系の投薬はやめてみたりして・・・

       

      1歳で発症して、途中死にそうな時もあり。

      両目の視力は障害され、右回りしかできず、時々けいれん発作を起こす。。。

       

      それまで経験していたパグ脳炎は、ひどいと1年ももたず亡くなってしまうこともあったので、

      この子は本当に脳炎なのか??なんて思った時もありましたが。

       

      最期の1週間は、発作が頻発。麻酔薬で眠る日々。

      それでも亡くなる日の夕方にはご飯を食べる時間もあったりして。

      頑張って7歳まで生きてくれました。

       

      途中、やりようがなかったので、試しに行っていた免疫抑制療法が、効いたのかは定かではありません。

      最近お付き合いのある、脳神経科の先生曰く

      「あの治療は、パグ脳炎に効くといったエビデンスがまだないんですよね。論文が出てくれないかな?」って。

      今のところは、やはりステロイド+シクロスポリンが主流とされています。壊死性白質脳炎も同じです。

       

      ただし、GMEには効きます(実感として)。しっかりデータもあるようです。

       

      現在、うちの病院で管理しているGMEの子は1頭。

       

      この子の場合は、「おかしいんです」って来院してGMEが濃厚に疑わしかったので、

      あえてステロイドも使わずに、先ほど話に出た先生にすぐ連絡を取りしっかりとした診断もつけてもらいました。

       

      その後、ステロイド+シクロスポリンのコンビネーションは一切やらず、最初から現在の治療法。

      当初は、視力も障害され姿勢もいまいちうまく保てない感じでしたが、かれこれ、1年半。

      1回休薬してもいいんじゃないかって思うくらい。

      すこぶる調子がいい!!

       

      飼い主さんとの話し合いで、治療は継続していくことに決定。

      副作用が出ることもなく、このまま長くコントロールできることを願います。

       

      片や、友人の病院で管理していた子は、同じ治療をしても数ヶ月しかもたなかったとのこと。

      脳炎の治療は、未知数が多いことを感じます。

       

      前回のブログにも書きましたが、何れにしても脳炎はコントロールしていく病気です。

      どのくらい保てるか???

       

      そんな病気ですから、

      治療を行なっている先生といっぱい話して、悔いのないように。

       

      専門医ではないので、経験値でしか語れませんが、問い合わせがくる皆さんにそう伝えています。

       

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      2015.08.21 Friday

      犬の脳炎 治療法

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        犬に起る脳炎。

        ウイルスや細菌などの感染によっておこるタイプと
        原因不明で免疫が関与していると考えられているタイプとに分かれます。

        脳の障害が起きている部位によって症状は様々ですが、一般的に
        けいれん発作、四肢のふらつき、起立困難、失明、旋回、捻転斜頸・・・などが見られます。

        院内の血液検査やレントゲン検査では診断することはできませんが、
        MRIや脳脊髄液の検査によって診断が可能ですので、多くは専門医のいる大学病院などの受診をお勧めしています。

        感染性の脳炎は治療の可能性もあるのですが、

        根本原因が分からない壊死性髄膜脳炎(NME)や壊死性白質脳炎(NLE)、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)、特発性脳炎(自己免疫性)などでは、
        けいれん発作を内服薬で抑えていくような対症療法は別として、
        原因治療は、高用量のステロイドや免疫抑制剤(シクロスポリン)の投与が一般的ですが、
        効果があっても一時的であったり、副作用の問題、薬が高価であることなど頭を悩ませることも。

        現在、脳炎と闘う子が2頭。
        脳炎になるとあっと言う間に亡くなってしまうことも多いのですが、
        症状は出つつもそれぞれ1年以上がんばっています。

        2頭とも他院にて大学病院へ紹介され脳炎と診断。
        その後それぞれの紹介病院にて継続的にステロイドやシクロスポリンなどの投与を行い治療。
        症状はある程度安定していたのですが、ひどい副作用に悩まされていました。

        そんな中、縁あって当院へ転院。
        それぞれ診断された大学病院の先生にコンタクトをとり、現状と今後の治療について相談。
        やはりステロイドやシクロスポリンの投与による免疫抑制療法でいくしかない・・・とのアドバイス。

        まあしばらくは、副作用はあるものの症状も安定して良かったのですが。。。。。_| ̄|○

        1頭の子は、ある日を境にみるみる悪化0口0
        いままで効いてた薬も効果はなく・・・
        新たな薬をくわえるものの、それもダメ。
        「これ以上他にあるのか?」と悩むこと数日。

        そこで、定期的に出席している神経科の勉強会にて、
        「現状こんな感じなのですが、なにか他に治療法ありませんか?」とダメ元で質問しました。

        すると、先生は即答で
        「今はこんな薬を使ってますよ!効果ありますよ!」
        「え!!!マジで
        元々神様みたいな先生ですが、まさに神様(興奮しすぎて何を言っているのかわかりません汗

        その治療方法が記載されている海外の論文を見せていただき、根掘り葉掘り質問の嵐!
        病院に帰ってきて、更に調べてみると日本での論文発表(症例報告)もあるではないですか!!

        翌日には飼い主さんに提案。
        薬を手配して投与開始。

        もう1頭の子の飼い主さんにも提案し、もちろん投与開始。

        投与プログラムが終了するのは約1年後。

        とにかく今の状態がキープできることを祈ります!

        ??・・・
        お気づきの方いらっしゃるかと思いますが
        そう、「キープ」なんです。
        中にはかなり炎症が治まる子もいるらしいのですが、
        一般的には効果があったとしても発症後3〜4年しか生きられません。
        残念ながら現時点ではこれ以上の治療法はなさそうです。
        根治は・・・なかなか難しいというのが現状です。

        こんな脳炎、予防法もありませんのでとにかく診断し、あとはやるしかありません。

        このようなことが身につけられる。
        専門家の勉強会に出席していて、ほんとうに良かったと思う瞬間です。
        全ての科の最新論文を読みまくることは正直できません。

        当たり前のことですが、「現役中は、ずっと勉強」ということになりそうです。


        これから先も山あり谷ありだと思います、飼い主さんの介護も必要です。
        病院としても出来るかぎりサポートします。
        Lちゃん、Sちゃん。一緒にがんばっていこう!!

         

        追伸

        この記事をご覧の方々へ

         

        経験して分かってきた各種脳炎治療に関しての記事を掲載しています。

        あわせてご覧ください、治療法の参考になれば幸いです。

        http://okubo-vet.jugem.jp/?eid=865595

         

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        2015.05.13 Wednesday

        「歩けてる!!」 椎間板ヘルニアのコーギー

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          かれこれ1年近く前の話です。

          子犬の頃から診ているコーギーのPちゃん。
          ある日突然、後足の麻痺により腰がたたなくなりました0口0

          検査の結果から、椎間板ヘルニアが最も疑わしく即日入院。
          自力での排尿もできず、内科治療を試すものの著しい効果は見られません。。。

          そこで、診断のためにMRIを撮影してきてもらうと
          やはり「椎間板ヘルニア」
          がっつり、神経が押されています。

          正直、椎間板ヘルニアの手術はやってみないと分かりません、すべての症例でまた歩けるようになるかは??
          ただ中型犬ということもあり、排尿も自力でできないとなると今後の介護も一段と負担がかかってきます。

          飼い主さんと相談の結果「よろしくお願いします」とのお返事。

          早速準備をして手術
          いざ、背骨を開けてみると・・・
          「よく見る椎間板物質とはなんか違う!?確かに少し神経を圧迫してるのですが??」
          とにかく、圧迫物質はすべて取り除き減圧もして終了。

          やれるだけのことはやって、術後は内科療法を徹底的に、後は祈るのみ 
          「改善しますように!!」矢印上

          その後すぐに、自力での排尿はできるようになったものの・・・
          改善のスピードはものすごくゆっくり、
          イヌ用の車椅子を使いながら長いこと起立困難の状態が続きました。

          そんなPちゃん、
          もうそろそろ冬も終わりな頃、家の窓から通りを見ていると。

          「おっPちゃん、いつもの散歩ね」
          「今日の感じはどうかな??」
          「あれ!?」
          一瞬目を疑いましたが、いつも着いてるあれがありません。

          急いで階段を下りて病院の玄関へ
          「歩いてるじゃん!!」
          「そうなんですよ先生、見て見て!!』

          もうそれは、幼い頃見ていたアニメ、アルプスの山でのあのシーン。
          俗に言う「KRRが立った!!」状態 泣

          しばし、スタッフ一同病院前で飼い主さんとひとしきり盛り上がるなか
          当のPちゃんはというと素知らぬ顔。

          その後自慢げに町内1周の旅に出かけていきました。

          獣医にできることは手助けにすぎません。
          ここまで長かったですが、飼い主さんの献身的な介護とPちゃんの生命力というか回復力に拍手です。

          P.S.
          いいか悪いか微妙だけど、ダイエットもできてよかったね。




          写真は、先日来院したときに撮影したものです。
          病院の床は衛生面の関係でちょっと滑る材質なのですが・・・ちゃんと歩けてるねぇ手

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          2013.12.17 Tuesday

          ダックス 椎間板ヘルニア 手術

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            椎間板ヘルニアの手術。
            個人的には寒くなってくると多く診る気がしますが、以前も書いたとおり軽症の子であれば内科治療で良くなることが多いため、手術を行う重症の子は年間数例しかいません。

            そんな中、今回はちょっと特殊なケースだったのでご紹介します。

            来院したのはなんと14歳になるM.ダックスの男の子(?言ってみれば、おじいちゃんです)
            昨夜から突然腰が立たなくなってしまいまいた。
            詳しく検査をしてみると、神経の反射は椎間板ヘルニアを疑う所見でした。
            とにかく、入院してもらい点滴で薬を投与して24時間経過観察。。。。いまいち反応がありません。
            排尿や排便は可能ですが、歩くことはもちろん自力で起っていることさえ困難な状態です。
            しかも痛みも強いようで、触るとおもいっきり怒る感じ。

            そして、飼い主さんとご相談。
            「薬に対する反応はあまり良くないようです、確定診断のためにはMRIが良いと思います。さらには、椎間板ヘルニアだった場合うちの病院で手術は可能ですが当然全てが全身麻酔になります。14歳という年齢が少しネックになりますが、どうしましょう?」

            飼い主さんは、即決。「MRI撮ってきます。手術も可能ならお願いします。」
            実際、この子はもうずいぶん長いこと診察させてもらっていますが、14歳といえどもまだまだ若いもんに負けない的な感じで元気いっぱい。個人的に見てもこのまま歩けなくなってしまうのはちょっとつらい。。。。手術自体はやってみないと正直どこまで回復するかは不明ですが、麻酔に耐えられないような体の状態でもない。
            「わかりました、やってみましょう!!」

            手術は1時間ほどで順調に終わり、圧迫していた椎間板物質もごっそりとれました(といっても、数ミリの大きさの世界ですが)。
             (摘出した椎間板物質の一部です)
            あとは、祈るのみ。。。
            手術翌朝には腰の痛みもとれたようで、少し穏やかになり徐々にリハビリを開始。。。。

            術後1週間の抜糸のときには、かなり改善!!起たせてあげれば結構しっかり起っていられるかんじに。
            さらに1週間(術後2週間)。。。歩いてます!!まだまだおぼつかないところもありますが、かなりいい感じ!
            ちょっと小走りしちゃうかんじも見られ、飼い主さんにも笑顔が戻りました。
            もちろん、当の本人も喜んでます!!手

            高齢になってからの手術、みなさん悩むことも多いかと思います。
            実際私自身もどこまでお勧めするか症例によっては悩む時があり、飼い主さんと話し合いが続くことがあります。
            今回のような飼い主さんの判断も、少し参考になればと思います。

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            2013.06.04 Tuesday

            犬 脊髄梗塞

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               皆さんがよく耳にする「椎間板ヘルニア」、
              椎間板物質(背骨の間のクッション)が飛び出すことで、脊髄(背骨の神経)を圧迫して後ろ足に麻痺を起こしてしまいます。
              (首に起これば前足が麻痺となります)

              これとよく似た症状を示す病気に、「脊髄梗塞」があります。
              症状はやはり麻痺なのですが、椎間板ヘルニアとは少し違う点があげられます。

              1.片足のみに麻痺が出る(両足に出ることもありますが・・・その時はちょっと問題です)。
              2.痛みをあまり訴えない(多くの症例で見られます)。
              3.発症から48時間を超えると症状の悪化が見られない。

              大きくこの3点

              今回来院した、12歳になるパピヨンのKちゃん。
              朝から突然、左の後ろ足のみひどい麻痺が出てしまいました。

              レントゲン撮影、神経検査を行うと・・・
              どうも第3胸椎〜第3腰椎の間に障害がありそうです。
              ただし、左足のみ(右足は全く問題ありません)

              いつもの椎間板ヘルニアとはちょっと違うなと思いつつ(先入観は禁物です)、まずは点滴で薬を投与しながら24時間様子を見ることに。
              翌日、若干昨日よりは力が入るようにはなってますが、麻痺はまだまだひどくうまく歩けません。


              飼い主さんと相談
              もし椎間板ヘルニアであればすぐに手術で対応、しかし違う病気も考えられるのでとにかく診断のためにMRIを撮ってきてもらうことに。


              結果は、脊髄への圧迫は軽度のものがありますが脊髄梗塞が強く疑われました。

              こうなると話は別です。運動制限も必要ないですし、数日炎症を抑えるだけであとは見守るのみ。
              今回のkちゃんの場合、日に日に麻痺は改善していきました

              ただしこの脊髄梗塞、回復しない場合もあります。
              だいたい、30日位を境に回復の兆しが見えないとその後の回復は難しいといわれています。
              さらに、両足に麻痺が出た場合・・・脊髄軟化症という治療できない病気が併発する可能性もあります。(脊髄軟化症は治療法がなく、そのほとんどの子が亡くなってしまう病気です。)

              足の麻痺・・・いろいろですね。

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              2012.12.17 Monday

              犬の椎間板ヘルニア 診断 手術

              0
                 犬の椎間板ヘルニア、
                みなさん一度は聞いたことのある病気だと思います。

                ダックスフンドに多いことで有名ですが、そのほかの犬種でも起こります。

                椎間板ヘルニアは、症状の重さによって5段階に分けられます(G5が一番重症)。
                グレードが高くなればなるほど、残念ながら治療の成績も悪くなってしまいます。
                当院でも、毎年何例か椎間板ヘルニアの症例に出会いますが、実際に手術を考えなくてはいけない子はそれほどいません。

                そんな中、急に寒くなった頃、後ろ足の異常を訴えA.コッカーのNちゃんが来院。
                さっそく診察してみると、両方の後足に麻痺がみられ
                なんとか介助すれば起立できるものの不安定で歩くことは困難な状況でした。

                神経学的検査、レントゲンなどにより、椎間板ヘルニアの疑いがあります。

                椎間板ヘルニアの確定診断には脊椎造影という方法もありますが、「椎間板ヘルニアではない」
                ということもあるので、どうせ麻酔をかけるなら断然MRIが有効です。
                ただのレントゲン撮影では診断できません。
                しかし、MRIを撮るには特別な施設に行ってもらうしかありません。

                したがって、まずは疑いをもって内科治療を試してみます。
                重症の子は別として、ほとんどの子が薬に反応して改善が見られます。が、
                そのままいける子もいれば、そうじゃない子もいるわけで・・・

                今回のNちゃんもいいところまではいったのですが、数日治療するものの左足の麻痺が残り
                かなりフラフラの状態でうまく歩けませんし、すぐに座り込んでしまいます。

                病気グレードとしては低いですが、積極的な治療として外科的なことも考えなくてはいけません。
                そこで、確定診断のために飼い主さんにお願いしてMRIを撮影してきてもらい見てみると・・・
                椎間板ヘルニア、胸椎13番と腰椎1番の間でかなり脊椎神経が押されていました。

                検査結果を見ながら、再度飼い主さんとご相談
                脊椎の一部を削り神経を圧迫している椎間板物質をとりのぞく手術を提案しました。(片側椎弓切除術)
                ただしこの手術、残念ながら100%治るわけではありません、
                さらに言うと、治ったとしてもすぐにすたすた歩き出すわけでもありません(徐々にです)。
                正直、やってみないと回復の程度はわからないのです。

                Nちゃんの場合麻酔にもリスクがあったため、飼い主さんもかなり悩まれたようですが
                「お願いします」とのこと。

                さっそく手術です。
                何時間もかかることはないのですが、何せ脊髄神経ですのでものすごく気を使います。


                麻酔も安定し、無事手術は終了。
                今回のNちゃんの場合術後3日目くらいから歩行もしっかりしてきて、
                5日目には(以前のような感じにはいかないですが)かなり改善 歩いて退院です。

                飼い主さんもNちゃんも笑顔、大成功です。

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                2012.05.21 Monday

                後足の麻痺

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                  馬尾症候群という、神経が圧迫されて起こる病気があります。

                  脊椎の中に神経の本線(脊髄)が走っています、最終的に腰椎〜仙椎(骨盤の骨)まで達し、そこから細かく枝分かれします。これらの神経が、馬のしっぽのように見えるので、その領域のことを馬尾と呼びます。

                  中年以降の大型犬に多いとされていますが、小・中型犬や猫でも起こることがあります。

                  原因は、腰仙椎関節が不安定になること(中には、腫瘍ができて圧迫されたりすることあります)で発症し、後足の麻痺、腰の痛み、排尿障害などの症状を訴えます。
                  症状の程度によっては、腰仙椎関節を固定するような手術も必要になります。

                  ある日のことです。いつものように診察をしていると、久しぶりに見る顔の子が来院しました。
                  13歳になった柴犬のGちゃん、飼い主さんのお仕事の関係でしばらく茅ヶ崎を離れていたのですが、先日また戻ってきたとのこと。少し見ない間に、ずいぶんおじいちゃんになって、また違う可愛さが出ていた感じ 

                  「おひさしぶりです」のご挨拶も早々に、よく見ると左の後足に麻痺(足の甲でつくような感じ、ナックリングといいます)が出ていました。明らかに、右足と比べても筋肉量の減少も見られ、ぶんぶん挙がっていたしっぽも挙がらず、少し痛みもある様子。
                  飼い主さんの話だと、ここ1カ月くらいのことらしく、大好きな散歩もいまいち行けないようで・・・

                  レントゲン検査をしてみると、腰椎〜仙椎の関節に問題がありそうでした。
                  神経検査からも、馬尾症候群を疑う所見です。

                  そこで、飼い主さんと話し合い・・・

                  。。。馬尾症候群?!
                  私は、幸いなことに、毎月神経科の先生の講義を受けさせて頂いています。そういえば、その講義の中でこんなことを聞いたことがありました。「大学病院でも、高齢すぎて麻酔がかけられない子に最近こんな薬を使っています。結構効果がありますよ!」。。。。

                  ヒト用の薬なので、獣医療ではまだ正確なデータはないですが、副作用もそれほど心配いらないので、試験的に投与してみましょうか?



                  効果ありです 写真のように、後足しっかりしてきました。さすがに以前のような健常な足とはいきませんが、セーブしながら散歩も可能です。

                  今回のGちゃんは薬に反応して良好な経過が得られています。本当であれば、確定診断のために脊椎造影検査やMRI検査が必要です。どちらの検査も麻酔が必要で、腫瘍や他の病気の可能性も考え1発で決めるとなれば、MRIがベター。当院には、MRIなんてないですから、どこか施設に行っていただかなくてはいけません。
                  高度な検査、治療が必要であれば、もちろんすぐさま行ってもらうようなご相談もさせていただきます。しかし、今回のような症状が切迫していない場合や、飼い主さんのもろもろの希望がある場合、「うちの病院で最大限できることを行う」町医者(1次診療)としては、今回のような方法「あり」かと思います。

                  最近は、高額な医療機器を有する病院もありますが、なかなかそうはいかないわけで、今ある医療機器の中で、どれだけやれるか?
                  そのためには、診断精度の向上や治療知識・技術の向上、これからも日々精進です。

                  Gちゃん!帰りの分の体力を計算して散歩してね!そうじゃないと、帰りは抱っこになっちゃうから

                  おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
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