犬 脂漏症 アレルギー性皮膚炎 スキンケアの重要性
かれこれ1年前の話になりますが、ひどい痒みと脱毛をともなったKちゃんが来院されました。
当然、アレルギーの問題もありそうでしたので血液検査で診断。
以前にもお話いたように、脂漏症は薬では治りません。
徹底的なスキンケアが中心となります。
飼い主さんも理解をしてくださり、試すこと現在約1年経過。
現在はアレルギーに関してもステロイドはいっさい使わず。
かなり改善してきました
飼い主さんもがんばって通ってくれています(頭が下がります)。
これからも治療とシャンプーは続けていかなくてはいけませんが、
がんばりましょう!!
先日、小児のアトピー性皮膚炎の予防に保湿剤が良いと、ニュースでやっていました。
まさにそのとおり、スキンケアは保湿が命です。(実感しています)
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犬の脂漏症 シャンプー
人の脂漏症とは少し違って、角化異常が特徴で皮膚の異常な脂っぽさなどが見られます。
そこに細菌やマラセチアなどの感染もおこり、なんだかいつも痒いといったことになります。
シーズー、ビーグルといった犬種に多かったのですが、
最近では(当院では)トイプードルやポメラニアン、M.ダックスといった犬種でも見ることがあります。
昔から遭遇する皮膚のトラブルで、付き合っていかなくてはいけない病気です。
困ったことに薬では治りません。
そこで、登場するのがシャンプー療法。
古くから、各社いろいろな脂漏症対策のシャンプーが発売されてきました。
当然私もいろいろと患者さんと一緒に試してみましたが、軽度なものはともかく重度の脂漏症に悩む子には正直いまいちでした。
そんな中、ここ数年とてもいい製品ができ、皮膚科の資料や学術誌などを読んでも
「なるほど、これは良さそう」と思えるシャンプーに出会いました。
ただし、正直意外と手間がかかるんです。
なので患者さん自身で行っていくにはかなり根気が要るためなかなか長続きしません。
これではいいシャンプーも意味がありません。
なんとか、病院で預かってシャンプーできないものかと準備を進めて、やっと昨年から重症の患者さんのみですが少しずつ受け入れを開始しました。
そんな成果をすこしご覧ください。
M.ダックスのCちゃん、小さなころからずっと脂漏症と付き合ってきました。
週に1回シャンプーを始めること、5か月。見違えるようにきれいになってきました
写真では少し見にくいかもしれませんが、顔の毛はかなり生えています。
痒みは全くなしとはいきませんが、以前よりは良いようです。
脂漏症は、クレンジング→シャンプー→保湿。
これからも続けてシャンプーをしなくてはいけませんが、Cちゃん一緒にがんばろう
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犬のアレルギー性皮膚炎 その2
アレルギー性皮膚炎の診断をした実際の症例をご紹介します。
T.プードル 3歳 避妊メス
2011年11月頃から、背中・前足の屈曲部・あごの下に脱毛を伴う痒みを訴えて来院されました。
各感染性皮膚炎を除外したうえで、ステロイドを短期間試験的に投与。
すると、痒みはピタリと止まります。
良好なので、しばらく止めてみます。
すると、それほど期間が空かないうちに、また同じ部位に同じような痒みが出てきます。
実はこれ、出ている部位・ステロイドへの反応から、アレルギーの疑いがあります。
そこで今度は、アレルギーがアトピー性なのか食事性なのか、プログラムされたステロイド投与を行い、ざっくりですが探ってみます。(これには、やり方があります。)
すると、「どうも主たる痒みは、食物アレルギーが疑わしい」、と予想することができました。
そこで、飼い主さんへご相談、「アレルギーの検査してみませんか?」
リンパ球の反応結果の一部がこれです。
トウモロコシ以外の項目で、反応の数値が出ており、牛乳は全然ダメです
結果から「この子は、食物アレルギーです」と診断できます。(予想は当たってました)
しかしここで、終われません。
この子の場合幸い、この後の検査で反応しない処方食が見つかりましたので、それを食べてもらってます。ちなみに、基本的におやつなしです!
これで、食事に対する痒みはほぼ0になりました。
もちろん、ステロイドは必要ありませんし、現在、痒みも訴えていません。
実はこの子、軽度のアトピー性皮膚炎も、検査の結果併発していることが分かりましたので、暖かくなったら、そちらのコントロールをしていきます。(おそらく、経験的にステロイドは必要ないと思っています。)最初の1年は、やるべきことをきっちりやって、アレルギーの痒みをシャットアウトします。その結果をうけて、2年目またどうするか決めていきます。
花粉症でお困りの方はよくご存じでしょう、アレルギーは付き合っていく病気です。
しかも、現在アレルギーを持っている子は、アレルギー体質ということですので、今は大丈夫な食事でも今後ダメになることも十分考えられます。アトピーに関しても同様です。
犬の寿命が15年とすると、この子の場合今後10年以上コントロールを続けないといけません。したがって、副作用のことなどを考えると極力ステロイドの投与は避けたいものです。
適切な検査をして、きちんと結果を理解し、治療をすることで、ステロイドの量を減らせる可能性があります。
アレルギー以外の皮膚の問題が絡んでると今回のように簡単にはいきませんが、検査結果から今出ているのは何の痒みなのかを分析することで、漠然としていた痒みの深い森に一筋の光が見えてくる、このようなことをよく経験します。
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犬のアレルギー性皮膚炎 その1
暖かくなると、皮膚の痒みを訴えて来院する犬達が増えます。
皮膚の痒みといってもいろいろとあり、ノミがついたり、細菌が繁殖したり、おもいっきり掻き壊してしまったり、厄介なマラセチアの繁殖、皮膚自体の問題・・・etc
そんな中でも、今日は、アレルギー性皮膚炎について。
アレルギー性皮膚炎には、大きく2つあります。
1.季節によって左右される、アトピー性皮膚炎。
2.食べ物に反応して、年がら年中痒い、食物アレルギー性皮膚炎。
アトピー性皮膚炎は、ハウスダストやカビなどに反応し、それらが増える時期と重なって痒くなります。多くの子たちは、冬にはあまり痒みを訴えません。(反応の程度にもよりますが)
食物アレルギーは、食べ物(主にたんぱく質と炭水化物)に反応して痒くなるので、そのご飯を食べている限り、年中痒がります。
アレルギーの検査というと、以前はアレルゲン特異的IgE検査のみを行っていましたが、これではアトピー性皮膚炎の診断はできても、食物アレルギーの診断は不十分でした。
当院では数年前から、食物アレルギーの診断として、アレルゲン特異的IgE検査と併せてリンパ球の反応を検査しています。
(っというか、以前はこの検査をやっている検査会社がありませんでした。)
食物アレルギーの痒みの70%はリンパ球の反応によるもの、残りの30%がIgE-肥満細胞系の反応によるものと言われています。よって、リンパ球の反応を検査しないと、食物アレルギーの診断はできません。
経験的に、食物アレルギーが痒みの原因である場合、検査をして食事管理を行うとかなりの確率でステロイドを使わなくてもよくなります。
幸い当院で管理している子達のほとんどは食物アレルギーが主体で、そこに軽度〜中等度のアトピー性皮膚炎を併発しているパターンが多く見られます。
事実、リンパ球の反応を抑えるほうが、IgEの反応を抑えるよりも、多い量のステロイドが必要です。ただし、重度のアトピー性皮膚炎は違います、これは本当に苦労します。
アレルギーを疑う場合は、一度ご相談ください。
実際の症例は、また後日・・・
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