2017.06.27 Tuesday

犬の肝臓腫瘍 手術 完全肝葉切除 

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    今回の話は、12歳になるマルチーズのKちゃん。

    小さい頃から診ている患者さんです。

    (白黒にしてますが、文章後半には手術中の写真も含まれています。)

     

    2年くらい前から、胆泥症の治療のため内服を継続していたのですが・・・

    数ヶ月前におこなった定期検査で、それまで3桁だったALPの値が、4桁に!!

    レントゲン検査とエコー検査により肝臓に腫瘤がある事が判明。

     

    出来た場所は、右側の外・・・(外側右葉か尾状葉が疑われます)

    エコー像は、正常な肝臓と同じく均一で、過形成(良性腫瘍)も疑える所見でした。

     

    ヒトの肝臓とは違い、犬の肝臓は6葉に分かれています。

    左側の外側・内側、中央に方形葉、右側の内側・外側・尾状葉

     

    「左よりも右の方が摘出は難しい。」というのが獣医学の定説。

    じゃあ左が簡単かというと、そんな事ありません。

    右でも左でもそこは肝臓。。。大血管が走行&それ自体が血液の塊のような臓器(腫瘍ならなおさらもろい)です。

    ミスとかいう話じゃなく手術中に大出血すれば、術中死の可能性だって大げさな話じゃありません。

     

    そんな状態なのに実際には、Kちゃんはいたって元気(肝臓腫瘍とはそんなものなのかもしれません)。

    しかも右側。

    大学病院の肝臓を得意とする外科の先生とくらべれば、私の経験など微々たるもの。

    過形成の肝臓に手を出して、大出血なんて事も頭をよぎり、正直および腰・・・

    飼い主さんともお互いに腹を割った話し合いを続けながら、しばらく様子をみていました。

     

    が・・・

    あんなによく食べていたKちゃんなのに、ある日を境にご飯を残すようになってきました。

    飼い主さんは、「なんか食べたいのに、食べれないみたい」と教えてくれます。

     

    うーん?!?!

    たしかにこの数ヶ月間、徐々に大きくなっていった腫瘤。

    検査をしてみると・・・

    大きくなった右肝臓の腫瘍が、胃と十二指腸を左側に押しやっています。

    これでは、胃も膨らみませんし、ご飯も残してしまいます。

     

    こうなると、仮に過形成といえども外科的な切除が望まれます。

     

    飼い主さんは「専門医じゃなく、先生に託します」といってくれます。

    みんなで腹を決めて、いざ手術。

     

    「でかい!!」

    想像はしていましたが、やっぱりでかい。0口0

    しかも1つの塊が横隔膜側の根本まで続いています。

    「こりゃあ、過形成じゃないな」一緒にやってる先生と顔を見合わせます。

     

    これを摘出するにはとにかく、腫瘍の背側に指が入らないと始まりません。

    ぐいっと!!

    入りましたが、腫瘍から出血も始まりました。

    これだから、肝臓の腫瘍は嫌です。_| ̄|○

     

    こうなれば、躊躇せずに一気に根本までアプローチ。

    肝臓に流入している大血管を糸で縛って!!!!!

     

    出血も止まりました汗

     

    みんなで、ほっと・・・「よかったァ」

    あとは、少しのりしろがあった肝臓実質を特殊な機械で切断。

    完璧に摘出できました。(正直ラッキーだった要素もありました)

     

    術後は、輸血して、炎症を抑えて、ダメージからの回復を待ちます。

    結構な貧血状態になりましたが、Kちゃんは翌日から食べ始め(ヒトなら考えられません)。

    みんなで一安心。

    3日目には貧血も改善し始めて、その後退院となりました。

     

    気になる病理結果は・・・「肝胆管癌」

    見た目通り、悪者でした。(エコーだけではやっぱり見分けがつきません)

    もう少し大きくなったら、出血も起こしたかもしれません。

    今後も経過観察が必要ですが、

    転移病巣もなく、摘出も上手くいったので、予後は期待できます。

     

    Kちゃん。小さい身体でよく頑張ってくれました。

     

    とはいえ、託された獣医師としては(私の事ですが)・・・

    術前のプレッシャー・術中の修羅場・術後のドキドキ

    経験を積まないといけない事もわかっていますし、やってみてわかる事もいっぱいありますが・・・

     

    今年に入って2件目の肝臓腫瘍摘出(前回は術前からお腹中血だらけ、待った無しの症例でした)

    当分、肝臓は結構です。

     

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    2016.08.01 Monday

    猫 胆管閉塞 黄疸 胆嚢‐空腸吻合術(手術)

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      肝臓に隣接している胆嚢(たんのう)という臓器があります。
      胆嚢の中には胆汁(たんじゅう)が貯留しており、脂肪の代謝に一役かっています。

      胆嚢内の胆汁は、胆嚢‐胆管(たんかん)‐総胆管(そうたんかん)というルートを通って、
      十二指腸に排泄されています。
      胆管閉塞は、胆管もしくは総胆管において胆汁の流れがストップしてしまう病気です。

      閉塞してしまう原因はさまざま、犬も猫も起こります。

      1. 結石(胆石)による閉塞。
      2. 胆嚢内で胆汁がどろどろに固まってしまい流れない(胆嚢粘液嚢腫)・・・犬で診られます
      3. 胆嚢炎や胆管炎による閉塞
      4. 膵炎による二次的な閉塞。

      上記1〜3では、胆嚢自体の問題ですので、胆嚢を摘出するなり何なりで対応すれば良いのですが…
      (もちろんそれはそれでリスクはあります。それはまた次の機会に)

      困るのは、4番目の膵炎です。

      膵臓は、胃と十二指腸にへばり着いている臓器です。
      膵臓で作られる膵液は膵管を通って十二指腸に排泄されます。

      !!!お気づきでしょうか!!!
      そうです、胆汁も膵液も十二指腸に排泄されます!!!

      しかも猫の場合は、総胆管に膵管が合流して1本となり十二指腸に開口しているので
      急性の膵炎を起こした場合には炎症の余波により胆管閉塞(胆汁うっ滞)が起きやすいのです。

      くわえて老齢の猫では、膵炎・胆管肝炎・腸炎が単独または併発して起こることがしばしばあります。
      (これらを三臓器炎と言います)

      軽い子はまだしも、このような病気がガツンと発症すると、
      ご飯は食べず、嘔吐は続き、見る見るうちに黄色くなっていく(黄疸)・・・
      最悪のパターンで進行してしまいます。

      炎症の程度にもよりますが、急性膵炎が治まるまでにはある程度の時間が必要です。
      膵炎の発症自体も命が危ないく、治るのを待っていられる体力があればいいのですが、
      閉塞性の黄疸が併発してしまうと膵炎とのダブルパンチでどんどん体がまいってしまいます。

      こうなってしまうと行える治療は限られてきますが、最期の手段「外科の力」に頼ります。
      このまま内科治療で押しても経験的にじり貧になっていくケースが多く、
      かなりリスクのある状況での手術となりますが、
      今後の治療のスタートラインに起たせるためにはこれしかありません。

      胆嚢・胆管の洗浄と胆嚢-空腸吻合術
      簡単に言うと
      「胆管・総胆管の閉塞の解除も行い、さらには胆嚢と空腸を直接結んで胆汁の流れをもう1ルート確保しよう」
      という考えの手術です。


      当院で実際に行っている手術の写真です。

      先ほども言ったように、手術のあとが勝負となってきます。
      正直、助かる子とそうでない子といます。

      あきらめずに、ここまでやってみる。
      こういったことも治療の選択肢の一つです。

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      2015.12.12 Saturday

      犬 胆嚢粘液嚢腫 肝臓・胆管障害 手術

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        胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)・・・

        犬特有の胆嚢の病気です。

        胆嚢は肝臓に隣接し、脂肪の消化を助けるための胆汁を貯めておく臓器です。
        通常胆汁はさらっとした液体で、
        胆嚢管〜各肝臓からくる胆管に合流〜総胆管〜十二指腸へ排泄されます。

        胆嚢粘液嚢腫は、そんな胆汁がコーヒーゼリーのようにドロドロに固まってしまい流動性を失ってしまう病気です。
        (それ以前の病気として「胆泥症」がありますが、こちらは流動性があります)

        胆汁が固まってしまうと・・・
        肝臓や肝内胆管にも炎症が広がります。
        くわえて細菌感染も起りやすくなり
        進行によっては胆嚢破裂、胆管閉塞(黄疸)を招きます。

        「胆嚢粘液嚢腫になってしまった時点で、
        出来ることなら肝臓や胆管に炎症があまり広がらないうちに胆嚢切除を行った方が良いのでは?!」
        と個人的には思っていますが。
        大学病院等の専門家の間でも意見が分かれるところです。

        そんな、悩ましい病気。胆嚢粘液嚢腫。。。

        今回の症例は、悩んでる暇はありませんでした。

        約1年前から依頼があった先生のところで内科治療を継続していましたが、限界がきています。
        現在は安定していますが、少し前には発熱があり状態も悪かったとか・・・

        胆嚢は教科書にでてくるんじゃないかと思う位、典型的な胆嚢粘液嚢腫のエコー像。


        血液検査でも肝臓胆嚢系の項目はオーバーし、軽度の黄疸も併発しています。

        大まかな話は先方の先生にお任せし、後日直接飼い主さんと少し詳しい話をさせていただき、
        「お願いします」とのこと。

        ただしワンちゃんにも、飼い主さんにも、獣医にも・・・そんなに気楽な手術じゃありません。
        まずは術後1週間(周術期)を乗り切ってくれないことには、話が進みませんし、
        今回のような症例では、胆嚢を切除しても内科治療の継続が必要です。

        要するに、「切った・すっきり・ハイ治りました」とは全然いきません。

        そして切除をまかされた獣医はというと(私のことですが)
        ・・・予定日の数日前からあれやこれやと考えを巡らせます。

        あらゆることを想定し、引き出しフル活用。
        いざ開腹!!!

        「やっぱり0口0
        癒着が半端じゃありません。
        過去に何度か小さな破裂をしていたことが予想されます。

        とにかく地道に胆嚢の剥離を行い、総胆管の洗浄により胆汁の流れを確保。。。
        時間はかかりましたが、無事終了矢印上

        後は術後管理です。
        今回は依頼していただいた病院で行うことになっていましたので、何度か私も足を運び経過観察。

        5日目以降はどんどん回復し、無事退院手
        今後も治療は継続ですが、危機は免れたかと思います。

        最近、この手術を行うことが多くなりました。
        検査機器が進歩しているので見つけやすくなったと言うこともありますが、
        病気自体も増えている気がします。

        病態の把握が非常に難しい病気なので、判断に悩むことが多いですが、
        やっぱりひどくならないうちに切除・・・がいいと思います。

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        2015.11.09 Monday

        犬の会陰ヘルニア 膀胱突出 排便・排尿困難 手術

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          今回は、長年の排便困難をかかえた11歳になるSちゃんの話です。

          数年前から会陰ヘルニアの診断をうけていたのですが、
          手術をするには難しいとのことで飼い主さんも悩んでいらっしゃいました。

          そんな中、最初は1本の電話でした。
          「会陰ヘルニアなのですが、便も出づらくて困っているんです」
          簡単に病状を伺うと、まさしく会陰ヘルニアそのもの。

          飼い主さんは、その後すぐにSちゃんを連れて来院されました。

          早速診察させていただくと、便が出づらいこともそうなのですが。

          写真:Sちゃんの外観です。右の会陰ヘルニアがひどく肛門は左側に寄ってしまっています。

          くわえて、排尿困難もあるとのこと・・・0口0

          そこでレントゲン検査を実施。
          みごとに膀胱が反転しておしりのヘルニア部分に出ちゃってます。



          膀胱は通常なら骨盤の頭側にあるはず、それが肛門の隣に位置しています。
          これでは尿道が折れ曲がってしまうために、排尿困難を招きます。

          幸いにもSちゃんは元気なのですが、この状態はほおっておけません。
          ここは手術の方向で飼い主さんとご相談、了承していただきました。

          手術としては、まずお腹を開けて「膀胱固定と結腸固定」+「お尻の会陰ヘルニアの修復」の3つを計画。

          ところが・・・・汗

          身体検査をくまなく行うと・・・
          心臓の弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)がありました。ガーンネコ
          追加検査の結果、心雑音はしっかりあるものの病態は軽度でしたので「手術もいける」と判断。

          ただし、長時間の麻酔はリスクが高いので手術は2回に分けて行うことに。
          まずはお腹の手術、時期を開けてお尻の手術。

          2回の手術も無事に終了。
          排尿も排便も問題なく出るようになりました手

          会陰ヘルニア、ひどくなる前に対処することをお勧めします。

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          2014.11.10 Monday

          メス犬の会陰ヘルニア 膀胱突出 おしっこが出ない

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             今回は、ほかの病院の先生にご相談を受けた症例です。

            犬の会陰ヘルニアと言えば、中年以降のオス犬がほとんどなのですが、
            まれにメス犬でもなります。

            おつきあいのある先生からのある日の電話で、
            「年寄りのメス犬なんだけど、おしっこが出ないんだ!しかもお尻も腫れていて・・・」

            「それって珍しいですけど、会陰ヘルニアじゃないですか?」

            そんな会話をしつつ、
            おしっこが出ないと言うことなので診断がてら病院にお邪魔させていただきました。

            早速診させてもらうと、肛門の横が腫れており指で押すと波動感があります。
            外陰部からカテーテルを挿入してみると、スムースに入り排尿させることはできました。
            幸い、排尿できなくなって時間が経っていなかったため腎臓への負担もほとんどなく
            排尿のコントロールはこれでどうにかなりそうです。


            しかし、単純のレントゲン写真ではあるはずの位置に膀胱がありません。
            はたして膀胱の位置がどこにあって、どうなっているのか知る必要があります。

            そこで造影剤注入して確認すると。
             

            膀胱は見事に折れ曲がり、肛門の横に突出しています。
            これじゃあ排尿はできません、今まで何事もなかったことがラッキーです。

            ここまでわかれば、後は先方の先生と飼い主さんとで話し合ってもらうしかありません。
            ただし高齢な子なので、場合によっては膀胱の位置だけ戻す手術で終わりという選択肢もありかと思います?!

            女の子(メス犬)の会陰ヘルニア・・・・珍しい症例ですがあります。(ちなみに猫でもあります)
            男の子ばかりではありません。先入観は禁物、要注意です。

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            2014.07.12 Saturday

            犬の会陰ヘルニア 手術 便が出づらい(便が出ない)

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              今回の症例は、ほかの病院の先生からのご依頼でした。

              ミニチュアダックスの男の子、排便困難を訴え来院されたようです。
              診察にて、会陰ヘルニアであることが分かりました。


              写真:ご依頼のあった先生の病院で撮ったレントゲンです。
                 肛門の部分に、会陰ヘルニアにより排泄が困難となった大きな便の塊が観察されています。

              1年ほど前に前立腺の問題があり去勢手術を行ったらしいのですが、
              会陰ヘルニアは進行し症状を訴えるようになってしまったようです。

              今回の症例では、ヘルニア部分の修復にはいつものように医療用メッシュ(ポリプロピレンメッシュ)を使用。
              術前の検査にて、結腸もだいぶ緩んでおり膀胱も少し後方へ変位していましたので
              先方の先生とも相談の結果、開腹して結腸固定と前立腺固定を一緒に行いました。

              お腹も開けて、お尻もやってなのでかなり時間はかかりますが、手術は無事に終了。
              あとは再発がないか経過観察するのみです。
              (これで大丈夫と自身をもって終わるのですが、どんな手術も術後はドキドキします。)
              今回の症例では術後3〜4日をピークに患部はかなり腫れましたが、消炎剤を使用するなどの処置で抜糸のときには排便も良好。
              しばらくは、縫った部分は多少いびつな感じになっていますが時間が経てばちゃんとなじんでくると思います。
               写真:抜糸の時の患部(お尻)の様子です。少し痛々しいですがご了承下さい。

              オスのダックスには特に多い病気です。
              便が出づらい・・・お困りの方ご相談ください。

              ーおまけー
              会陰ヘルニアの手術方法には、
              生体の素材(筋肉や膜)を使う方法や、同じメッシュを使う方法でも異なる術式がいくつかあります。
              どのような方法でも一発で治せて用は再発しなければ良いので、どれが一番いいなんてこともないのですが。

              各大学病院の外科の先生方はそれぞれ自信のある手技を考案し実績を上げていらっしゃり、それらを学ぼうとするそれぞれの開業医がこれだと思うものを採用して手術に望んでいるというのが現状です。
              私の場合は、大学附属動物病院の研修を通じて間近で学んでいる方法を採用しています。
              http://blog.okubo-vet.com/?eid=865494
              人工物を使用する点ではデメリットもありますが、ただ単に片側のみもしくは両側のヘルニア孔(穴)を塞ぐという方法とは基本的なコンセプトが違うため再発率は低い術式と理解しています。

              もちろん最初の手術で治ってしまうのが一番良いに決まっていますが、
              方法は決して1つではないので、再発したからもう治らないと言う訳でもありません。
              手術方法や内容をよく理解していただいた上で手術を決断されるのが良いと思います。

              私の獣医人生もまだまだこれから、新たな優れた術式が考案されるかもしれません。
              そんな時は、頭をやわらかくして術式の良い点悪い点を勉強・理解した上で望みたい思います。

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              2014.02.20 Thursday

              犬の会陰ヘルニア 手術 

              0
                会陰ヘルニア(えいんヘルニア)・・・聞きなれない病名かと思います。

                会陰部:定義としては肛門と外陰部との間らへんのことをそう言いますが、ここでは肛門の周りと理解してください。

                おもに去勢していない中年以降のオス犬にみられます(去勢手術によって予防することができる病気です)が、
                まれにメス犬や猫でも起ることがあります。
                一般的にM.ダックス、W.コーギーが好発犬種です。(胴長の方々は注意ですが、その他の犬種も起ります)

                この病気は、肛門の周囲の筋肉がオスのホルモンの影響などにより委縮してしまい、
                支えがなくなることで直腸が蛇行してしまいます。

                その結果、本来まっすぐな腸(なので、直腸と呼びます)であればスムースに排泄される便も
                蛇行してしまった直腸では、川のよどみのように流れが悪くなってしまいます。

                さらにひどくなると、筋肉の隙間から膀胱や前立腺、さらには小腸までもが会陰部に突出してしまいます。
                そうなると便が出ないどころじゃなく、おしっこまで出なくなることがあり緊急を要する事態となってしまいます。

                いきんでも便が出ない。。。ワンちゃんにとってはものすごく辛い状態です。自分に置き換えたらゾッとしてしまいます。

                 
                (会陰ヘルニアの症例写真)
                矢頭で囲んだ部分に便が溜まってしまいます。肛門に指を挿入すると直腸にスペースが確認できます。
                この子の場合は、肛門の3時〜9時方向(約半周)にわたってスペースが広がっており、いきんでも便が出ずらいのでお尻を気にして舐めまくっていました。手術後は、しぶりが数日続きましたが抜糸のときには太くていい便が出るようになりました。


                治療法は、外科手術しかありません。
                便を軟らかくして出やすくしてあげることも1つの方法ですが、根本的な解決にはなりません。

                外科手術ではいろいろな方法が古くから試されてきましたが、実際どの方法も再発する確率が高いことが難点でした。

                そんな数ある手術方法の中から
                当院では、人医療においてヘルニア孔の修復に用いられている医療用メッシュ(ポリプロピレンメッシュ)を使用した方法を採用しています。(同じメッシュを使う方法でもいくつか異なる術式があります)
                この方法は、人工物を使用するというデメリット(異物への過剰な生体反応や違和感)がありますが、
                ほかの手術方法と比べて圧倒的に再発率が低いのが特徴です。

                オスのホルモンが影響しているので、去勢手術も必ず行います。

                さらに、術前の検査にて膀胱や前立腺の変位が見られる重症の子に対しては、
                開腹し結腸固定術・前立腺固定術を施すこととなります。
                したがって、重症の子には3つの手術を行わないと治療が完了しません。

                手術を行っても再発することもある厄介な病気です。
                男の子、お尻が腫れている、便が出にくい。。。。会陰ヘルニアかもしれません?!
                こんな症状でお困りの方は一度ご相談ください。

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                2013.11.12 Tuesday

                犬の外耳炎 耳道切開という方法

                0

                  犬の外耳炎。
                  多くの方が当院にも来院されます。

                  治療方法は数あれど、「とにかく耳道内の洗浄を行ってもらい清潔に保つ」
                  この一言に尽きると思います。

                  しかし・・・・「耳の洗浄大好き」なんて子、いません。
                  それでも飼い主さんたちは一生懸命やってくれます。

                  一生懸命やってもらっても、どうしようもなく悪化を繰り返してしまう子が中にはいます

                  ただの外耳炎と思っていると、耳の粘膜はどんどん腫れて厚ぼったくなり、気がつくと奥の耳道の穴なんて全く見えなくなってしまいます。こうなると奥の奥まで洗うなんて、はっきり言って不可能です。ワンちゃんはしょっちゅう耳を掻き、苦痛に顔をゆがめます。さらに、炎症が中耳にまで広がってくると、首が傾き、瞳孔は小さくなり・・・三半規管の症状が見られるようになってきます。

                  そんなことになる前に、ひとつの方法があります。


                  「耳道切開」

                  簡単に言うと耳道の外側の一部をV字に切開(切り取って)して、人の耳のように鼓膜まで一直線に見られるようにしてあげます。(あまりイメージがつかないかもしれませんので、写真を載せます)


                  この手術を行っただけで外耳炎が治るわけではありません、あくまでも外耳炎を治療するために洗浄しやすくしてあげる処置となります。しかし、圧倒的に外耳炎を管理しやすくなります手

                  ひどく悪化してしまえばある意味手術せざる負えないということもありますが、その少し前で行うのとではかなり違いが出てきますので思い切ってここまでやってみるのも方法のひとつだと思います、お困りの方はご相談してください。

                  おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
                   

                  2012.08.04 Saturday

                  犬の肺葉捻転(肺捻転) 開胸手術

                  0
                     肺葉捻転(はいようねんてん)、ちょっと聞きなれない病気です。

                    犬の肺は、左側に前葉(前部・後部)、後葉 右側に前葉、中葉、後葉、副葉と6枚に分かれて存在し、各葉に枝分かれした気管の根元で捻転(ねじれる)してしまうことで、肺のうっ血・壊死などが起こります。

                    特に、胸の深い大型犬に見られ、右の中葉もしくは前葉に起こりやすい病気です。


                    小さいころから診察している7歳になるボルゾイのOちゃん、「今朝、血の混ざった咳を1回した」とのことで来院しました。
                    早速、レントゲンを撮ってみようと試みるも、そこはボルゾイ体重48キロ(ちょっとお肉が付いていますが)なんていったって胸が深い、横に寝かせての撮影はなんとかなるものの、うつぶせの撮影は距離がありすぎてうまくレントゲン撮れません。

                    症状も切迫していないため、この日は抗生物質と止血剤、気管支の薬で様子を見てみることに。
                    翌日は、咳ほとんど出ず(もちろん血も混ざらず)再び経過観察。

                    がしかし3日目、明らかに状態が悪化、喀血・血痰も度々見られるようになりました。
                    これは、ただ事ではありません。うちのレントゲンの最大出力でもう一度トライ。

                    すると右の肺中葉に空気が入っていないことが分かりました。エコーで診ても正常な肺の画像ではなく完全に虚脱しており、血様の胸水も貯まっていました。

                    症状と併せて考えると肺葉捻転もしくは肺腫瘍が考えられます。

                    実はこのOちゃん、4年前に右前葉の肺葉捻転を起こしています。その時は咳などの呼吸器症状はなく、いろいろと大学病院で精査した結果判明し、そのまま摘出手術を受けていただきました。

                    捻転て2度もあるのか???と考える間もなく、症状はどんどん悪くなっていきます。
                    本来ならCT撮影である程度診断も絞りこめる可能性がありますが、週末も重なり高度医療機関はほとんどが休み。麻酔をかけるのも1回で済ませたい・・・状態から判断しても猶予はあまりありません、右中葉が原因ということは明らかで、実際には診断よりも開胸してどうにかするしか助かる見込みはありません。

                    開胸手術、やりましょう!飼い主さんも状況を十分に理解してくださり、「お願いします」とのこと。

                    そこで、いつも難しい手術を一緒に行っている仲間の先生に集合をかけ、手術開始です。
                    肋骨の間から、胸を開けて目視・・・うっ血して肝臓のようになった右中葉がすぐにわかりました。


                    そして問題の右中葉を摘出、閉胸して手術は無事終了です。

                    摘出できたからと言って、「ハイ終わり」とはいきません。
                    手術によるダメージからの回復。
                    肺捻転でみられる乳び胸(特有の胸水が貯まる病気です)の併発、そして治療。
                    術後管理で入院すること10日間。

                    とりあえず無事に退院 
                    全快とはいきませんが、通院で管理可能です。

                    開胸手術は麻酔医が肝心です、完璧な呼吸管理・麻酔管理を行ってくれたA先生。
                    助手に入ってこれまた完璧なサポートをしてくれたT先生。
                    そして、輸血に協力してくれたワンコ達。
                    感謝です!!good job!!!!

                    そして何より、退院後も次々問題が起こりましたが、一生懸命頑張って乗り越えてくれたOちゃん。
                    これからも元気に過ごしてね

                    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
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