2012.04.05 Thursday
犬の免疫介在性溶血性貧血 IHA
さて、免疫介在性溶血性貧血(IHA)という病気があります。
簡単に言うと・・・
免疫機能が誤作動を起こし、自分の赤血球を攻撃し壊してしまう、非常に厄介な病気です。
程度の差はあるものの、当然のことながら貧血を起こします。
当院でも、年間数例この病気に出会います。 犬も猫も。
約1年前のことです、
数日前にフィラリア予防のため、いつものルンルンな様子で来院していた、T.プードルのAちゃん。
突然元気がないとのこと、早速診察してみると、歯肉も舌の色も真っ白!!重度の貧血!!!
検査の結果、IHAと診断しました。
血液は自己凝集し、赤血球の壊れる速度も速い、IHAでも嫌なパターン
治療開始です!治療費はかかりますが、中途半端なことをやっても助かりません。
病気を理解してくださった飼い主さんも「お願いします」とのこと。
ステロイド、シクロスポリンの投与を開始し免疫機能を抑制、さらに輸血も。
この病気、貧血はもちろんですが、血栓が詰まったりして亡くなることが多いのです。
そのために、低分子へパリン(血を固まりにくくする薬)の投与もします。
それでも、ガンガン赤血球は壊れていきます・・・
最後の頼みの綱、ガンマガード(ヒト免疫グロブリン製剤)の投与、さらに2回目の輸血・・・
集中治療すること数日、なんとか、自己凝集は治まり、壊れる速度も遅くなりましたが、まだまだ手を緩めるわけにはいきません。
免疫誤作動の嵐がおさまるまで、じっと我慢で投薬を続けます。
それでもなんとか、途中に山あり谷ありでしたが、飼い主さんの献身的な看病と理解もあり、いまだ投薬は行っているものの、大きな副作用もなく、かなり減薬も可能になり、いつものルンルンな感じで月に2回ほど来院しています。
よく頑張ってくれました
しかし、この病気・・・治療に反応せず、亡くなってしまうことも多いのが現状です。
現在、3頭この病気と闘っている子がいます。
なんとか、みんな元気! これからも頑張ろう!!
おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
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- 初めましてm(__)m私は、現在非再生性免疫介在性貧血:赤芽球ろうと闘っている、シーズーとマルチーズミックス4歳の飼い主です。保護犬でまだ一年半一緒に居るだけで発症してしまい・・どうにか助けたくあがいております。
骨髄検査で病名は確定しその後一度の輸血、ステロイド、アトピカ一か月様子を見ましたが、薬が効かず、二度目の輸血をしましたが、その際自己凝集がありクロスマッチテストが判定できず、病院の供血犬DEA1.1 陰性のこの血を頂きました。
24時間後、急激な溶血が起こり、最終の切り札のガンマガードを行いましたが、
ヘマトクリットチ13%の状態で、もう輸血もできないので、家でゆっくり見てあげてくださいと言われ連れて帰ってきました。
貧血状態ですが、よたよた歩き、ご飯も食べ一週間がたちます。
うんち、おしっこも庭でできます。
長々すみません。
質問なのですが、
自己凝集した子の輸血は、自分の血を入れても溶血する状態で輸血はできないと言われました。うちの子の血を生理食塩水に落とすと固まる状態で免疫疾患の子に多いと聞いています。
こちらのブログを拝見していて、免疫介在性貧血の子で自己凝集しているにもかかわらず、二回の輸血をできたのはどうしてなのか知りたいのです。
薬で、改善されてからの輸血だったのでしょうか?
主治医の先生にもしっかり説明を聞き納得したうえで連れて帰ってきたのですが、輸血さえできれば・・・まだ治療の可能性があるのに・・・諦めきれずにいます。
現在、諦めず アトピカ、ステロイド、溶血後からミコフェノール酸モフェチルも服用しています。
現在溶血は止まり、かなり低酸素状態ですが、生活できるレベルです。
自己凝集すると輸血はできないのでしょうか?
お忙しいところ、大変申し訳ありませんm(__)m
お力になっていただけたらありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
-
- ゆるぎ かなえ
- 2014.08.03 Sunday 09:55
- 以前の記事だったため、コメントがあることに気がつきませんでした。
返信が遅くなり申し訳ありません。
私はこういった血液病のスペシャリストではありませんので、私的な病気への理解の範囲でしかお答えできません。(最初にお断りしておきます、ご理解してください)
そちらで飼われているワンちゃんは、文章を見る限り赤芽球瘻(非再生性貧血の一種)という珍しい病気のようですね、正直私はこの病気の治療に関しては経験がありません。
赤芽球瘻は免疫介在性溶血性貧血の亜型とされていますが、主に骨髄内で赤血球の元になる細胞に対し免疫的な抑制(破壊)が起っている病気であり、ブログの記事のIHAは末梢血中の赤血球が破壊されるタイプ(再生性)ですので(骨髄検査は行っていないのでそこまでの確定診断ではありません)病態自体が異なりますが、赤芽球瘻でも末梢血中の溶血が併発することがあると思われます。
いずれの病気も、輸血が絶対にできない訳ではないと思いますが、自己凝集が起っている状態での輸血はクロスマッチ検査も含め慎重に行わなくてはいけないことに変わりはありません。
ただし、輸血はあくまでも免疫抑制療法の効果が出るまでの時間稼ぎにしかすぎません、輸血をすれば病気が良くなる訳ではなく、輸血を行う自体にもリスクがあり、くわえてドナーの犬にも負担がかかることをご理解ください。
しかも輸血をすると溶血は亢進しますので、はっきり言うと「貧血がひどくて、どうしようもないから行う最後の切り札」です。私の勉強の限りでは、できればガンマガード投与後に輸血をした方がベストと記憶していますし、できる限りそのような順番で治療をしています。
質問中にある「自己凝集した子の輸血は、自分の血を入れても溶血する状態で輸血はできない」と言うのは自己輸血のことなのでしょうか?状況が分からないのでこの部分はお答えできません。
ブログには結構さらっと書いていますが、このような病気の場合は実際の現場ではものすごい時間をかけて飼い主さんと毎日話し合いが続きます。この子は幸い助かりましたが、何頭もこの病気で亡くなってしまった子を経験しています。
慢性の赤芽球瘻であれば、現在行っている免疫療法を継続していくしか方法はないのではないかと思いますので、かかりつけの先生と良く話し合って納得のいく治療を受けてください。寛解し1日でも長く一緒にいられることを願っています。 -
- 大久保
- 2014.10.14 Tuesday 19:20
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