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2017.06.27 Tuesday

犬の肝臓腫瘍 手術 完全肝葉切除 

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    今回の話は、12歳になるマルチーズのKちゃん。

    小さい頃から診ている患者さんです。

    (白黒にしてますが、文章後半には手術中の写真も含まれています。)

     

    2年くらい前から、胆泥症の治療のため内服を継続していたのですが・・・

    数ヶ月前におこなった定期検査で、それまで3桁だったALPの値が、4桁に!!

    レントゲン検査とエコー検査により肝臓に腫瘤がある事が判明。

     

    出来た場所は、右側の外・・・(外側右葉か尾状葉が疑われます)

    エコー像は、正常な肝臓と同じく均一で、過形成(良性腫瘍)も疑える所見でした。

     

    ヒトの肝臓とは違い、犬の肝臓は6葉に分かれています。

    左側の外側・内側、中央に方形葉、右側の内側・外側・尾状葉

     

    「左よりも右の方が摘出は難しい。」というのが獣医学の定説。

    じゃあ左が簡単かというと、そんな事ありません。

    右でも左でもそこは肝臓。。。大血管が走行&それ自体が血液の塊のような臓器(腫瘍ならなおさらもろい)です。

    ミスとかいう話じゃなく手術中に大出血すれば、術中死の可能性だって大げさな話じゃありません。

     

    そんな状態なのに実際には、Kちゃんはいたって元気(肝臓腫瘍とはそんなものなのかもしれません)。

    しかも右側。

    大学病院の肝臓を得意とする外科の先生とくらべれば、私の経験など微々たるもの。

    過形成の肝臓に手を出して、大出血なんて事も頭をよぎり、正直および腰・・・

    飼い主さんともお互いに腹を割った話し合いを続けながら、しばらく様子をみていました。

     

    が・・・

    あんなによく食べていたKちゃんなのに、ある日を境にご飯を残すようになってきました。

    飼い主さんは、「なんか食べたいのに、食べれないみたい」と教えてくれます。

     

    うーん?!?!

    たしかにこの数ヶ月間、徐々に大きくなっていった腫瘤。

    検査をしてみると・・・

    大きくなった右肝臓の腫瘍が、胃と十二指腸を左側に押しやっています。

    これでは、胃も膨らみませんし、ご飯も残してしまいます。

     

    こうなると、仮に過形成といえども外科的な切除が望まれます。

     

    飼い主さんは「専門医じゃなく、先生に託します」といってくれます。

    みんなで腹を決めて、いざ手術。

     

    「でかい!!」

    想像はしていましたが、やっぱりでかい。0口0

    しかも1つの塊が横隔膜側の根本まで続いています。

    「こりゃあ、過形成じゃないな」一緒にやってる先生と顔を見合わせます。

     

    これを摘出するにはとにかく、腫瘍の背側に指が入らないと始まりません。

    ぐいっと!!

    入りましたが、腫瘍から出血も始まりました。

    これだから、肝臓の腫瘍は嫌です。_| ̄|○

     

    こうなれば、躊躇せずに一気に根本までアプローチ。

    肝臓に流入している大血管を糸で縛って!!!!!

     

    出血も止まりました汗

     

    みんなで、ほっと・・・「よかったァ」

    あとは、少しのりしろがあった肝臓実質を特殊な機械で切断。

    完璧に摘出できました。(正直ラッキーだった要素もありました)

     

    術後は、輸血して、炎症を抑えて、ダメージからの回復を待ちます。

    結構な貧血状態になりましたが、Kちゃんは翌日から食べ始め(ヒトなら考えられません)。

    みんなで一安心。

    3日目には貧血も改善し始めて、その後退院となりました。

     

    気になる病理結果は・・・「肝胆管癌」

    見た目通り、悪者でした。(エコーだけではやっぱり見分けがつきません)

    もう少し大きくなったら、出血も起こしたかもしれません。

    今後も経過観察が必要ですが、

    転移病巣もなく、摘出も上手くいったので、予後は期待できます。

     

    Kちゃん。小さい身体でよく頑張ってくれました。

     

    とはいえ、託された獣医師としては(私の事ですが)・・・

    術前のプレッシャー・術中の修羅場・術後のドキドキ

    経験を積まないといけない事もわかっていますし、やってみてわかる事もいっぱいありますが・・・

     

    今年に入って2件目の肝臓腫瘍摘出(前回は術前からお腹中血だらけ、待った無しの症例でした)

    当分、肝臓は結構です。

     

    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

     

     

     

     

     

     

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