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2019.03.29 Friday

猫 尿管閉塞(尿管結石)水腎症 腎臓摘出手術

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    今回の子は、引っ掛け問題みたいな病態でした。

     

    毎年、健康診断を行なっている

    猫のMちゃん10歳。

    昨年の画像診断では、すでに左腎臓内に結石があることがわかっていました。

    結石はあっても、現在は問題を起こしていないのでとりあえずこれに関しては経過観察中。

     

    そんな、Mちゃん。

    1週間前から食欲がなくなったということで来院。

     

    もともとの病気がわかっていましたから、みんなで顔を合わせて一言。

    「検査しましょう!!」

     

    通常、このくらいの稟告(飼い主さんからの問診)でいきなり検査というのはあまりない事ですが。

    健康診断をして、状況がわかっているMちゃんの場合は、別です。

     

    まずは、エコー。

    腎臓の中身を見るには一番適してます。

    す、る、と・・・

    左腎臓.jpg

    左の腎臓はバッチリ水腎症。

    尿管を追っていくと・・・

    尿管.jpg

    矢印のところに、結石がこれまたバッチリと詰まってます。

    右の腎臓は・・・

    右腎臓.jpg

    大丈夫!!

     

    続けて行なっているレントゲン検査でも、左の尿管領域に結石の存在が確認できます。

     

    しかし、?血液検査では・・・

    BUN 32  Cre 2.2  SDMA 15

    まあちょっとは上がってるけど、全然平気。

    ?????

     

    いつもの、猫の尿管閉塞だと腎臓の値は思いっきり上がってるのに?

    Mちゃん、こんなに水腎症なのに上がってない。

    こんな程度の値で?食欲不振??

     

    なんかちょっとおかしな感じです。ただし、腎臓は見ての通りの尿管閉塞ー水腎症のパターン。

    うーん?????

     

    辻褄が合わないことも病気を見ているとよくあることですが、このパターンは初めて。

    とにかく通院治療して1日経過観察。

     

    翌日の検査では、状況変わらず(当たり前か)。

    「状況は変わらないので、とにかく1つずつ整理していきましょう」

    「明日、開腹して尿管にある結石の摘出をおこないます」とインフォームド

    飼い主さんも状況を理解していただき、手術スタートです。

     

    さあ、いつものように尿管へアプローチ。

    結石は??っと。っとぉ??????

    ありません、予想していたところから腎臓側に動いています。

    腎臓の出口の腎門部の結石って、一番摘出困難。

    腎門部では腎静脈の真隣に尿管が走行しています、その尿管を慎重に露出。

    パンパンに膨らんでる腎盂と尿管ならともかく、

    Mちゃんの結石も指では触れますが、切れません。

    切ってもいいけど相当危なっかしい。

     

    仕方がないので、術中に飼い主さんに電話連絡。

    腎瘻チューブで逃げることになりました。

    果たして、左腎臓が機能回復することで食欲は戻るのか??

    腎瘻チューブという積極的な方法ではっきりと把握できるはずです。

     

    が・・・・・

     

    術後、出ません。

    腎瘻チューブからおしっこ出ません。

    えーーーー!!!死んでるのこの腎臓!!!!!

    もちろん食欲もいまいちのまま。

     

    他に原因がありそうです(・_・;

     

    猫の食欲不振、一般血液検査でのってこない病気といえば・・・・・

     

    そう膵炎です。

    改めて、外注検査で確認すると上昇しています。

     

    「こんなことあるんだなあ。」先入観って注意しないといけないと改めて思いながら。

    結果、腎瘻チューブまで行ったからかなり正確な診断ができたことも事実。

     

    腎瘻チューブに関しては、過去には設置後4日目に排泄が始まった症例もいるので、

    4日間は待つことにして、保留。

     

    猫の膵炎は、とにかく食べさせることで治していきます。これはこれで、術後2日目から徐々に食べだして・・・良さそう。

     

    ただし、ここに来てさらなる問題。

    IHA(免疫介在性溶血性貧血)の併発!!!

    日に日に赤血球数が下がっていきます。

     

    と待つこと4日目、赤血球数もこれ以上待てないところまで来て、腎瘻からの排泄もない。

     

    改めて、飼い主さんとの話し合い。

    「腎瘻チューブを除去しただけでは、水腎症が残る可能性があります」

    「水腎症が残りIHAが継続した場合は、免疫抑制も必要になるため、膿腎症のリスクがさらに高くなります」

    「左の腎臓が機能していないことは明白なので、腎瘻チューブ除去と一緒に腎臓摘出をお勧めします」

    「そして摘出後は、軽度腎障害が残ると思います」

    なんだか、大掛かりなことになって来ましたが、これ以上は待てません。

    飼い主さんも「お願いします」の一言。

     

    腎瘻チューブ除去とともに腎臓摘出も行なって、無事に終了。

     

    腎瘻チューブ設置前に静脈性尿路造影(IVP)を行ってもよかったと思いますが、

    結石で閉塞して機能を止めていると増強されないこともあるため、最終的には今回行なった方法での診断的治療を説明するでしょう。

    ただ、犬ではこのような病態を経験していますが、猫でもあるなんて。

    っていうか、この年の猫で残された腎臓がこんなに機能してしてるなんて!!ちょっとびっくり。

     

    腎臓摘出後、翌日からモリモリ食べ始め、心配していた赤血球の壊れ方もほぼストップ。

    機能を廃絶した左の腎臓が悪さしてたのか??

    摘出して、ものすごく改善してるのですからそうとしか考えられませんが・・・

    当のMちゃんは、無事に退院もできて、抜糸の時にはすこぶる元気。

    心配していた腎障害も正常の上限〜極軽度。何もしないで経過観察で良さそうです。

     

    本当に、勉強になります。

    「ひっかけ問題」変にひっかかってドツボに嵌るなんてこと、自分では幸いありませんが時々みます。

    気をつけて、やるべきことを慎重に考えて。

     

    これからも、頑張りまーす。

     

    頑張りついでに、お知らせ。

    この4月から、大学病院に戻ります。

    水曜日はいないことも増えますので、よろしくお願いいたします。

     

    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

     

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