この度ついに、外注検査が可能となりました。
それは、C?NE(C2NE)
尿中のC?NEを計測することで、関節炎の有無が客観的な数値でわかるようになります。
バイオマーカーというやつです。
要するに、飼い主さんは気がついていない動物たちの関節の痛み。
「うちの犬も年とって、ヨタヨタしてる」とか
「うちの猫も出窓に飛び乗らなくなった、年かしら」とか
それ、痛みをとってあげるともう少し快適に暮らせるかもしれません。
しかも、以前のブログにも書いたように
http://okubo-vet.jugem.jp/?month=202303
痛み止めとして使える新しい薬も販売されています。
高齢の動物、特に猫では、慢性腎臓病を持っている子が多く存在します。(もちろん犬にもあります)
一般的によく使われている消炎鎮痛(NSAIDs)は、腎障害の副作用があるために、
そのような高齢の動物では使用することができませんでした。
しかし、先日販売された注射薬の「ソレンシア」猫用「リブレラ」犬用は、そのような副作用のリスクがありません。
もちろん、薬ですので個体差による副反応(副作用)の発症はあると考えますが、基本的にはごく稀です。
実際に、うちでずっと管理してきていたスコテッシュの症例。
片腎(腎臓摘出により)で後半は腎臓も心臓も悪かったスコ。
薬が発売された時に、飼い主さんが希望されて使用しました。
結果は、副作用もなくバッチリ!
動きが格段に良くなり、飼い主さんもその効果に驚いていました。
現在、2歳のスコ。
こちらは、骨瘤形成という骨の病気。
「ザ スコテッシュ」の子には、比較的有名な病気。
痛みをとってあげるしか治療法もないような病気ですが、「ソレンシア」の効果は抜群!
死ぬことはないけど、ずっと痛みと付き合っていかないといけないこのような病気には、いいと思います。
スコテッシュフォールドのような特殊な種類の猫にはもちろん。
単純に加齢とともに起きてくる「痛み」にも。
冬季に行なっている、猫の健康診断キャンペーンの時も採尿しますので、
関節炎のチェックも同時に検査可能です。
バイオマーカーが高値なら、その後レントゲンでのチェックも行います。
言葉を発しない動物たちの日常的な痛みを見つけて、しかも改善させたあげられる時代になりました。
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若いのに、
結石が詰まったりして起こる急性腎障害。
いずれにおいても、「腎性貧血」を起こすことがあります。
血液の大半を占める、赤血球。
正常値より低下すれば「貧血」となります。
ただし、その数は増えすぎても困るので、120日くらいで血液中の赤血球は寿命を迎えます。
かと言って、一定数はキープしないといけないので、赤血球の再生(新しく生まれる)により保たれています。
そんな赤血球の再生に役立っているのが、「エリスロポエチン」という造血因子。
この「エリスロポエチン」、腎臓から産生されています。
勘の良い方はお気付きだと思いますが、腎臓が悪くなるとエリスロポエチンの分泌が悪くなり、赤血球の再生に支障がでます。
要するに、寿命で死んでしまう赤血球に対して、再生される赤血球が少ないので、貧血が進行します。
そんな状態に対応するために、医学領域では「エリスロポエチン製剤」というものが、薬として販売されています。
古くは「エスポー」(商品名)
これは、週に2−3回注射しなくてはいけませんでした。
その次に登場したのが「ネスプ」(商品名)
これは、週に1回の投与で効果が得られ、かなり使い勝手の良い製剤です。
現在も、多くの症例で使用しており。
特に、慢性腎臓病における貧血の改善には、効果的です。
そして、今回登場したのが、「エポベット」(商品名)
これ、猫用です。
人用ではありません。
実は、販売前の治験の時点でお声がかかり、効果の実績については知っていました。
「いつ出るのかなー」って待ち望んでいましたが、ついに発売となりました。
ただし、新薬ってこともあり高価。
なので、「ネスプ」で効果の出ている症例に使うということは考えておらず。
「あのタイミングで使ってみよう」と常々準備をしていました。
そして、いいのか悪いのか先日、適応だとと考えていた症例が・・・
その症例とは、尿管閉塞で水腎症となり、腎臓の機能がかなり悪い状態。(いつもの難敵です)
そんな子達は、診断の時点でしばしば非再生性貧血(腎性貧血)をともなっています。
治療開始から点滴をこれでもかってくらい入れるので、
脱水の改善と共に濃縮していた血液も薄まり、
結果、「%表示」の貧血の値は、低下。(=貧血の進行)
腎瘻チューブの設置から行う子達は、2回目の手術前には貧血もかなり進行。
当然私も、進行することがわかっているので、治療開始当初(まだそれほどひどい貧血になっていない状態)から
「ネスプ」の投与を開始。
でも、いつも反応が悪く、貧血が思ったように改善しない。
仕方がないので、輸血までして、2回目の手術を終わらせたりってことがよくあります。
そんな中、今回は、早速「エポベット」。
結果からお伝えすると、結局輸血して2回目の手術を終わらせることにはなりましたが。
造血の反応は、抜群◎。
今回の子に関しては、赤血球の消費が激しかったので、その造血反応も追いつかず・・・
と、いった感じでしたが。
ネスプよりは、格段に良いです。
どうしても、人の薬を使って治療をしている我々は、
反応の悪さや容量の調整など、見えない壁が立ちはだかることがあります。
獣医師にとっても、動物にとっても。
このような新しい薬が発売されることは、大歓迎。
また次の子の時に、使ってみましょう!!
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血液検査と尿検査を基本に、腎臓病やその他病気の早期診断を行います。
検査料金もキャンペーン価格ですので、この機会にご利用ください(^ ^)
詳細は、スタッフまでお気軽にお聞きください。
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]]>本年もどうぞよろしくお願いします。
初日の出は、雲がかからずとても綺麗でした。
そして、富士山も。
バッチリですね。
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今回は、11歳になるRちゃん。
ラグドールだけど、ちょっと小さい可愛らしい子。
話を聞くと、左の腎臓は萎縮しており。
右の腎臓は水腎症、で尿管には結石が1個。
かかりつけの先生も、丁寧に紹介状を書いてくださっていたので、そちらも参考に。
幸い、血液検査で腎臓関連の数値は高いものの、食欲はあるRちゃん。
とりあえず現状の把握のために、フル検査。
(尿管結石、ちっちゃ)
話の通り、左は、小さめ。
そして、右の腎臓は流れが悪くなっているようです。
尿管をたどっていくと、小さな結石が1個。
水腎症はそれほどでもって感じ、結石は1個、閉塞部位の尿管の太さは1.7mm。
血液検査では、Cre:4.6 BUN:58 SDMA:21
腎臓の数字は高いけど、食欲はある。
左は、小さい。
検査結果をなぞって言ってるだけですが、私の頭の中には呪文のようにぐるぐると(^_^;)
左の腎臓は、どのくらい機能しているのか?or機能が残っているのか?
血液検査の数字は高いけど、食欲もあるということは体はこの状態に慣れている。
右の水腎症はいつから?あるんだろう?もしかして、結構前からあるんじゃ無いか?
手術してみるのはいいけど、数字と状況が改善するのか??
ぐるぐる、ぐるぐる・・・
「うん!先ずは内科治療で様子をみましょうか」
かかりつけの先生に頼んで皮下点滴、そして尿管を動かすような内服。
その間、診察しながら、2週間。
数字は、改善傾向。
食欲もそれなりに安定。
右の水腎症は・・・変わらず。
尿管結石も・・・動かず。
もう一度、ぐるぐる、ぐるぐる・・・
飼い主さんにも、私の頭の中のぐるぐる問題は伝わったようで。
「どうしますか?」
「先生、悩みますよね・・・」
しばし、話し合い。
「とにかくやってみましょう!」
ということで、手術で結石を摘出することで決定。
尿管を露出して・・・見た目では結石はわからない(T ^ T)
指で触って・・・ここにある感じ。
それにしても小さい。
小さいから切開も小さくて済むけど、その分細かい。
縫合は終了したけど。
だいたいにして、あの小さな結石が詰まるんだから、尿管の内腔はやっぱり狭いはず。
これちゃんと疎通するのかな??
保険をかけて、腎瘻チューブも設置。
2〜3日保てばいいし、無麻酔で抜けるように、細いチューブ。
そして、術後。
腎瘻チューブからの排泄は良好。
そして、排尿もある。ということは、左のちっちゃいのも機能している。
よしよし!!
数日待って、腎瘻チューブから造影。
尿管の疎通も良いし、漏れも無い。
なので、半日、腎瘻チューブをクローズにして・・・
結果、右の腎盂は、若干拡張しましたが、血液検査はほぼ正常値なので経過観察。
やっぱり、腎盂が拡張していた時間が少し長かったかもしれませんが、
もしかしたら腎臓の数字が下がらない可能性も考えていたので、これはこれで良し。
パンツのゴムが伸びたのと一緒で、元に戻るには時間も必要です。
そして、当のRちゃんは元気。
最初に会った時には、緊張していて。
入院管理(特に腎瘻チューブの管理)も大変かもしれないって思いましたが。
手術の翌日には、お腹出してゴロゴロ。
すっかり仲良くなって(^ ^)記念撮影?
まずは家族の元へ無事退院。
2週間後の検査では、右腎臓は正常な形に戻り、血液検査も大きな問題なし。
今後も治療は継続しますが、強度は緩めて、経過観察。
ひと山越えた感じ。
一件落着。
にしても
あんな小さな結石、いつまで眼がついていくんだろう??
なんて、おじさんっぽいことが頭によぎったりして・・・
あーーーーヤダヤダ(>_<)
健康管理気をつけます。
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隣の隣の市から、長年排尿困難を患っていた、Mちゃんがやって来ました。
オス猫の排尿困難、その多くは砂状の結石が尿道に詰まるパターン。
そんな状態の猫は、おしっこがしたいのに出ない。
なので、カテーテルを尿道に挿入して、閉塞状態を解除してあげます。
おしっこが出ないことは緊急なので、そのような処置はウチに限らず、多くの病院で行われます。
そして、この処置により起こりうるリスクとして挙げられるのが、カテーテル挿入に伴う尿道の損傷。
誰がやっても起きる時は起こります。
今回のMちゃんは、カテーテルが入ったままの状態で、来院しました。
「これ、いつから入ってるんですか?」
「かれこれ1週間になります」
うーーーーーーん
「この子、数年前から排尿困難を繰り返してるんです」
「その都度カテーテル入れて解除して」
「^^;じゃあとにかく、このカテーテル抜いて、どうなるのか観察させてください。」
このような、込み入った状態の子は、一回何もしない状況から、
どう出なくなっていくのかをみてみないと、何をどう治療すればいいのか?見当がつきません。
と言うことで、入っていたカテーテルを抜いて、尿道を造影。
そうすると…
尿道口から入ってすぐのところに、あるはずのないスペースができていました(゚o゚;;
いつの傷なのか???古いのか?新しいのか?
考えても仕方がないので。
まあとにかく、この憩室も含めてどうなるのか?経過観察です。
今までの経験でも、尿道に憩室があってもしっかり排尿できている子はいます。
数日後、排尿困難。
このときはカテーテルも意外とすんなり。
抵抗もなく、尿道もそんなに変化なし。
でもMちゃんもお母さんも、お疲れの様子なので、預かってみることに。
すると、なんとか毎日排尿。
食欲もいい感じ。
尿道を広げる薬などやってみながら、退院。
これで大丈夫ならいいのですが…
退院から1週間。やっぱり出ない(T ^ T)
パンパンに膨らんだ膀胱。
しかも、今度はカテーテルも入らない。
外来診察の合間に、もう一度トライ。
「あれ?お尻濡れてない?」
スタッフと顔を見合わせます。
そして膀胱をゆっくり圧迫。
すると、包皮の隣にできていた傷から、ポタポタと…
(T ^ T)「瘻管できたね」
仕方がないので、麻酔をかけて膀胱に直接カテーテルを設置。まずは排尿のルートを作ります。
そして再び造影、今度は膀胱から順行で尿道の様子を観察。
瘻管が描出できたら一番良かったですが、そうなかなか上手くいくものでもありません。
尿道は、憩室だった部分で完全に閉鎖。
「これじゃあ、カテーテルも入らないし、もちろん自力で排尿もできないよね」
ということで、尿道口を再建です。
とにかく外部に繋げて、排尿させないと生活できません。
そして、どこに開けるか?
お尻(会陰部)か腹壁か?
お尻に開けてあげた方が猫としては楽。
でも使える尿道はごくわずか。
飼い主さんにも、正直な思いや考えを伝えて、「試しに会陰に開けさせてくれないか?」ご相談。
「先生に判断にお任せします。」と返事をもらい、チャレンジ。
もちろん勝算はありますが、本当にやってみないとわからない。
まず最初の難関は、尿道が見つかるのか?
次に、使える尿道がどの程度あるのか?
そして、なんとか、尿道口を確保。いい勉強をさせてもらいました。
その後もちょっとトラブルがありながらも、術後設置したカテーテルも抜けて自力で排尿もできるので退院。
この後は、排尿ができるのかを経過観察していくしかないので、まずはお祈り。
もちろんやった手術に自信はありますが、お祈りして損はないので・・・(^_^;)
猫ですので何が起きても不思議ではないので、やれることは全てやります。
久しぶりに大変でしたが。
だいぶ長い入院だったので、すっかり仲良しになりました。
お母さんも笑顔でお迎え。
まずは、無事に退院できてよかったです。
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つい昨日も、津波警報が発令されましたね。
地震に限らず、
嵐による河川の氾濫
土砂崩れ
など、
自然災害はもう当たり前のように毎年起こります。
幸い、茅ヶ崎では大きな災害はこれまで経験したことはありませんが、
何年か前には、相模川も氾濫ギリギリの時がありました。
この先どうなるのか?誰にもわかりません。
そんな災害にあった時、どうすれば良いでしょうか。
ペットを飼っているものとしては、さらに深く考えておく必要があります。
ペットの避難訓練などは、行政主催で行われていますので参加してみるのも良いと思います。
さらに今月は、初の試み。
避難所の見学会も、行われます。(東海岸地区限定ですが)
子犬や子猫を飼い始めた方々には、
ペットショップで購入したサークルもいいのですが、
「ぜひクレートで過ごせるように練習してください」とお伝えしています。
もしも避難となったら、サークルごと、持って行くことはできません。
抱っこで連れて行きますか?
クレートなら・・・可能かもしれません。
いつも安心して入っていられる場所。
そんな環境なら、避難生活においてもペットも少しは安心して過ごせるかもしれません。
処方食、いつも飲んでいる薬。
病院が被災することもありますし、私もそんな時はどうなるかわかりません。
「避難用に持っておきたい」と伝えていただければ余分に処方も可能です。
秋になると、このような催しも各地で開催されます。
この機会にご家族で考えてみてもいいのではないでしょうか。
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くわえて学会への出席もあるため、さらに休診が続いてしまい、申し訳ありません。
「先生が休みっていうと、具合悪くならないかっていつもドキドキするのよね!!」
って、皆さんがおっしゃいますが・・・
いつも以上に私も祈っています。
そして、今年も行ってきました。
「日本獣医腎泌尿器学会」
今年は完全対面式となったので、会場にもたくさんの先生方が全国からいらしていました。
認定医となって初めての学会ですが、そのあたりは特に何もなく・・・^^;
いつものことながら、最新の研究や稀な症例の発表まで、
途中、国立大学で基礎研究を行っている先生の頭の良さにめまいを覚えながら、必死に理解しようとして。
なんとか、夕方まで乗り切りました。
そして、私の師匠、研修医時代からお世話になっている先生、研修同期の先生たち。
おなじみの顔から、久しぶりにお会いする顔ぶれまで、こういったことも学会に出席する楽しみだったりします。
その翌週は、
「獣医学術関東・東京合同地区学会」
こちらは、神奈川県獣医師会の小動物学術委員長を務めている関係もあって、
神奈川県から選出された先生方の応援。
発表姿を写真におさめたりして。
運動会のお父さん状態。
もちろん、他地区の先生方の発表も聞かせてもらい。
久しぶりお会いできる先生方とも、しばし談笑。
勉強になりますし、刺激ももらえます。
こんな毎年の夏の行事。
同窓会的な楽しみもありますが、最新の情報はこういうところでしか得られません。
もちろん、長年行なっている専門家による勉強会でも、そういった先生から得られる情報は貴重。
日々勉強。
これはずっと続きます。
そして、第2回目の夏休みをいただきます。
9月17日(日)〜20日(水)
頭と心と体のリフレッシュができますように・・・
それまでに色々とやらなきゃいけなさそうな子たちが、いっぱい。
いつものことながら、1例終わってまた1例。
頑張ります(^_^;)
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子供の頃の夏って、30度を超えることは、数えるほどしかなかったのに。
今は、最高気温36度なんて日が連日。
この前自宅に人を呼んで、「夏だからBBQ」
なんてことを久しぶりにやってはみましたが。
日陰ができる時間から始めたのに
とにかく暑い
「生まれたてか?」ってくらい
全身ビチャビチャ
おじさんだからなのか?
温暖化がこうさせてるのか?
考えるのはやめておきましょう・・・
家にいる猫は、クーラーで快適に。
散歩に行く時間が限られる犬たちは、この時期どうしても太ってしまうのは仕方がないこと。
アスファルトでの火傷。ビーチでの熱中症。
お気をつけください。
そんな犬たちの日常のケアといえば、ブラッシング・歯磨き・耳掃除・爪切り。
あとは気になる、涙やけ。
昔から、白い毛の子は非常に目立ってしまいます。
当然昔からある飼い主さんの悩みなので、いろいろなものが販売されています。
そんな中、最近登場したのがコレ
「アイリッドラッシュ」
もうすでに何件かの飼い主さんに使ってもらっていますが、結構評判がいいです。
もちろん、いきなり白くなるわけではありませんので、その辺りはご理解ください。
涙やけは、皮膚が涙に濡れることで、そこにいる細菌から出る色素が原因。
そんな状態を、綺麗に保ってくれるようです。
そんな日常のケアでもダメな時は、自家製で作成する点眼薬があります。
(最近、眼科の専門医に教えてもらいました。)
目の下、ビチャビチャで、臭くなっちゃったりする子たち。
そんな子たちには、点眼薬も効果があるかもしれません。
気になる方は、お気軽に聞いてください。
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そう言って、うちの病院を訪ねてくる飼い主さん。
「抗生物質の投与を行なって一時良くなるんですけど、またすぐに膀胱炎になっちゃうんです」
そんな子達が、このところ続いています。
実際には急に増えたわけでもなく、昔からコンスタントにやってくるそんな悩みを抱えた子達とその飼い主さん。
犬も猫も、再発する膀胱炎には必ず原因があります。
抗生物質の投与を繰り返すのは、対症療法であって原因治療ではありません。
膀胱内に貯まっている尿は、通常無菌です。
菌がいないという観点から考えれば、尿は綺麗な液体です。
まっすぐな川のように、スムースに流れていれば問題は起こりませんが。
淀んだり、氾濫(漏れたり)したり、堰き止められたりすると、
綺麗だったはずの尿に、細菌感染が起こります。
その原因は、様々。
電話がかかってきて、飼い主さんから話を聞くと。
「あ!あの病気かな?」なんて、何となく思い当たる病気が頭に浮かびます。
が、実際に診てみたら違ってるなんてこともあります。
先入観は危険ですね。
先月から、もう何頭?きてるか?
季節の変わり目?あんまり関係ない気がしますが・・・
再発するようなこういった症例は、飼い主さんが直接来院することがほとんどですが、
おつきあいのある開業医の先生方からも、診察依頼を受けることがあります。
そんな、親しい先生方と一括でお会いできたのが。
先日、病院を休診にして出席してきた、神奈川県獣医師会の定期総会。
前期から引き続き、今期も小動物学術委員長に任命。
いわゆる調整役ですので、それほど偉いわけでもないのですが。
委員長と名がつけば、身も引き締まります。
総会の後の懇親会では、昔から知っている県庁職員の先生などにもお会いできて。
動物行政について少しばかり意見交換。
懇親会は、二次会まで続き。
見渡せば、ほぼいつも会っているようなメンバー。
「これから獣医学生さんを中心とした若い先生方をどうやって獣医師会に振り向かせられるか?」
真面目な話半分、遊びの話半分。
年齢的にもだんだんと責任のあるポジションに、言い換えれば現場の実働部隊。
開業獣医師はなんだかんだ孤独になりがち。
獣医師会に所属していると、それはそれでめんどくさいことも時にはありますが、
気の合う仲間と、ともに会を作っていく。
なんてこともできるようになります。
このブログを読んでいる方は、ほとんどがうちの患者さんだと思いますが。
獣医師会に興味を持ってくれる若い先生方がいてくれると嬉しいです。
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普段は来院することのない、健康なワンコたちのフィラリア予防開始シーズン。
それに加えて、通常通りの病気の子たちの来院。
身体が2つはないとやっていけない様なかんじです。
「仮に2つあったら、結局3つ欲しいってなるんじゃないですか」
ってスタッフたちは言っていますが、
そのとおりなのかもしれません(^^;;
そんな忙しい話は置いておいて。
この度、日本獣医腎泌尿器学会の認定医となりました。
認定医といっても、試験があったわけでもなく。
粛々と講義を受け、学会に出席する。
そんなかんじでもらえちゃうので、まあなんというか。
それなりの称号です。
それでも、改めて受けた講義は、
今までの知識の確認と、新しい知識の追加と、大変勉強になり。
毎年出席している学会も、それはそれで刺激をもらっています。
(過去に学会誌に投稿した症例発表もカウントしてもらえると助かるんだけど(⌒-⌒; ))
今から10数年前、外科を学びに通った大学研修医時代、教えを乞うた先生はその道のスペシャリスト、
そして日本で一番、腎泌尿器疾患を診ている方でした。
そんな縁から、自分の病院でも実際に泌尿器の仕事を「やりまーす」って手を挙げて。
恩師に意見を求められるようになり、ちゃんと認めてもらうこと。
近隣の先生や知り合いの先生方に頼ってもらえること。
もちろん私を頼りに来院してもらっている、ワンコとニャンコそしてその子たちの飼い主さん。
そんなことの方が、よっぽど認定医なのかもしれないと思っていますが。
まあ、あればあったで損はしない称号。
ありがたく、いただきます。
そして、決意を新たに、これからも精進します。
P.S.
このブログを書いている本日。
大忙しの時期も、ひと段落なのか?
台風が接近中のため、天候も悪く来院数が少なくなっているだけなのか?
溜まりに溜まっている事務仕事もこなさないといけないし、これはこれで貴重な時間。
そんな時間に余裕が出て来ると。
いい波来るかなー???なんて・・・・
忙しいと自ずと遠くなる海。
今年最初の台風スウェル、波乗りできるかなー?
診察の時に、目が赤かったら。
お察しください(^-^)
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神奈川県獣医師会の仕事の一つ。
動物愛護センターの子達の、手術支援。
今回もダックス、そして会陰ヘルニア。
前回とは違って、膀胱がヘルニア孔に突出。
まずはお腹を開けて、変位した臓器を元の場所に戻して、固定。
これで、おしっこちゃんと出るね!
そして、お尻の修復。
これでうんちもちゃんと出るね!
そして今回は、口のお手入れも追加。
犬歯以外はほぼ抜くことになり…
ちょっと舐められるのをためらっていたけど、だいぶいい感じ!
長らく居候して、だいぶ病院の犬感が出ていましたが、一時帰宅。
帰宅といっても、センターですけど(T ^ T)
あの性格なら直ぐに行き先も決まりそう。
みんなで祈って、無事に退院。
元気でね(^-^)
春の予防始まっています。
狂犬病予防接種は、6月までに。
フィラリア予防は5月から投薬開始ですが、事前の血液検査はもう受けられます。
週末は混雑が予想されます。
何かと煩雑になってしまいがちな繁忙期となっています、スタッフ一同注意して従事します。
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飼い主さんとは、多発性嚢胞腎を患っていた先代の猫からのおつきあい。
その子が亡くなって、しばらく経ったある日・・・
「先生、お久しぶりです」(^ ^)
「また飼っちゃいました!」って、ご夫婦で来院。
「わー!久しぶりですね!!」
「って、いきなり2頭ですか?!」今回は姉弟で2頭飼い(^^;;
「また今後ともよろしくお願いします」なんて言葉を交わして。
しばし、談笑。
で、その子達が育つこと6ヶ月。
まずは、女の子の方から避妊手術。
そして、男の子の方はというと・・・片側の陰睾。
「このまま降りてこないと、お腹開けて探しにいかないといけないね」
なんて、飼い主さんとも相談して。
「じゃあ、少し様子見てもいいですか?」ってことだったので。
そのまま、経過観察。
しばらくは、音沙汰もなく。
私も日々の仕事に追われながら、半分くらい忘れていた頃。
「先生、なんだか膀胱炎みたいなんですけど」って来院。
「膀胱炎?」
こんな若いのに?結石でもあるかな?
なんて、調べてみると。
「なにこれ?!粘膜めっちゃひどいじゃん!」
その膀胱は、飼い主さんが見てもひどいことがわかるようなエコー画像。
まずは、検査に基づいた適切な抗生物質で治療して、
日取りを決めて造影検査しましょうか。
としばし待ってからの検査結果は?
粘膜の状態はだいぶ改善されましたが、膀胱憩室があります(矢印)
造影検査でも。
鳥のくちばしのような、とんがり。
膀胱は袋状に丸いのですが、このような不整があるとそこに細菌感染が起こりやすくなってしまいます。
この変化で年齢的にも、考えられるのが
「尿膜管遺残」
尿膜管とは、胎生期にヘソと膀胱を繋いでいる管(くだ)です。
通常は、出生とともに閉鎖し退縮していきます。
が、何らかの理由で退縮せずに残ってしまう・・・
そんなことから、膀胱の頭側に憩室を作ってしまうケースがあります。
ヒトでは、4つのパターンに分類されていたりします。
と、病気の説明はいいとして。
どうやって治すか?
やっぱり、不整になっている膀胱を部分摘出して綺麗な丸い形に戻してあげます。
「こうなると、去勢の手術だけじゃダメだね」
手術の程度がだいぶ変わりましたが。
飼い主さんも、十分理解してくれて、お願いしますとのこと。
実際に肉眼で観察した膀胱は、漿膜面の炎症性変化もみられ、ポッコリ憩室も。
尿膜管の名残の部分も一緒に切除して、綺麗に整形してあげて・・・
無事終了。
最小範囲で摘出した膀胱壁には、くぼみも観察できます。
そして、術後は消炎剤。
3週間後の診察では、消炎剤も必要ない感じで排尿も良好!
そのかわり、かなりご立腹(^_^;)
いつもは可愛いんですけどね。
大変だったけどBちゃんよかったね!機嫌なおしてね!!
猫にも色々な膀胱炎があります。
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そういう私も、あっちこっち痛い。
年取るってやだなぁ…
本題に戻ります。
猫も歳をとると、あっちこっち痛くなります
(2回目)
飛び上がらなくなったり
爪研ぎしなくなったり
ひどい子は睡眠不足になって、昼間ずっと寝てたり
飼い主さんには、なかなか伝わらない猫のそのような慢性関節炎。
昔からわれわれも、猫のそのような変化は分かってはいました。
しかし。
痛み止めの代表選手
非ステロイド消炎鎮痛剤。
この薬は痛みを止めるには適してますが、
何しろ腎臓に負担をかけてしまいます。
みなさんご存知の通り、猫は高齢になると慢性腎臓病になる確率が高い。
いい薬ですが、これでは使えません。
次に考えられるのが、サプリメント。
炎症を止めてくれる作用もある物を使ってみますが…
毎日飲ませる。
ゴハンに混ぜて食べてくれれば良いですが。
そうは上手くいかないのが、猫。
しかもサプリメントなので、薬のように上手く効果が出てくれるか??
なんとも悩ましい。
そこで今回登場した薬。
「ソレンシア」
名前の由来はわかりませんが(^_^;)
薬の種類としては、抗体薬。
難しい話はここでは無しにして
何がいいかって言うと。
副作用が少ない。
注射で投与して1ヶ月の効果
高齢の猫などにはとても適しています。
関節炎の他にも、炎症性疼痛には全般的に効果が期待できます。
とは言え、新しい薬。
実際にはどの程度効果があって、どのくらいの頻度で使っていくのか?
これから臨床の現場で試されます。
ウチでも早速。
慢性関節炎症例ではないので、飼い主さんの了承も得て、効能外使用ですが。
骨瘤を患ってるスコティッシュの1症例
口内炎の管理をしている子の1症例
どちらの子も慢性的な痛みに悩んでいます。
効果が出てくれれば嬉しい。
ウチの猫はどうかしら?
気になる方は、こちらのリーフレットで簡単なチェック。
実際のリーフレットではQRコードから、アニメーションもみることができます。
病院でも用意しますので、お気軽に。
近い将来、尿検査で慢性関節炎が診断できるようになります。
そちらの検査にも期待。
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今年の1月はなんとなく暇、
言い換えれば
「平和!だね」
なんてスタッフとも話していると。
やっぱり、来る結石。
新年1発目は、近所の先生からの紹介。
膀胱の中には大小合わせると100個以上の結石があり。
取り残し無くしっかりと摘出。
そんな子に対応している最中、やってきたのは以前から診ているLちゃん。
うちの病院ではかれこれ1年前からのお付き合い。
初診の時は、まだ4歳。
前の病院で膀胱結石の摘出を行ったのですが
すぐに再発。
「どうしたらいいでしょう?」って、来院。
診はじめた段階で、すでに膀胱には結石があり、見た目からも絶対にカルシウム。
摘出してもいいのですが、履歴からも再発は免れないと予想。
血尿なども時々見られ、Lちゃんも困っているといえばそうですが、何度も膀胱切るわけにもいきません。
次に尿道閉塞など、何か起こったら・・・
切りますか?!
って、飼い主さんとも悶々とした日々を過ごしていましたが、
このところで、血尿が酷いとのこと。
早速、エコーで膀胱内を観察すると。
以前はなかった、ポリープ様の隆起が数カ所。
(赤 矢印)
結石の量も増加
(下の白い部分、全部結石)
「出血はこれだね」
「結石も急に増えましたね(>_<)」
ここにきて状況は一変しました。
仕方がないので、手術対応で進めます。
年齢も若いので、腫瘍である可能性は極めて低いですが、念のため細胞診と特殊な外注検査で精査。
腫瘍の可能性があれば、切る範囲も変わっていきます。
さらには、以前の経験から炎症性ポリープ疑いであっても、一部が癌化していたこともあったため。
診断と対応は慎重に。
今回は結石摘出も兼ねて、組織検査も実施することで意見がまとまりました。
で、早速手術。
金平糖の様なカルシウム結石は、摘出してる最中に崩れるので少し厄介。
Lちゃんの場合、気管虚脱(気管の一部が軟化して狭くなってしまいます)もあったため、
覚醒時の吸気困難にもしっかりと対応できるセッティング、
できればそれが起こらない様に術前から準備。
そして、無事に終了。
いつも、おとなしく検査を受けてくれるLちゃん。
頑張ったね!
術後にあげた「ちゅーる」は「こんなの食べ物じゃありません」ってな感じで拒否(^^;;
それでも
翌日朝には、しっかりと排尿して。
褒めてあげたら、スリスリ!!喜んで、仲直りできたみたいです。
ドライもちゅーるもしっかりと完食(^。^)。
再発はするのでしょうが、年齢からすると先はまだまだ長いので、その時にまた考えましょう。
って無事に退院させるその日には、また違う子が・・・
「先生、おしっこの最後に血尿が出たんです」って
最後尿の血尿・・・
来院してもらい、すぐに検査。
まあ、綺麗な?結石が1個。
そろそろ心臓の定期チェックもしないとね、なんて言ってる矢先に結石(T ^ T)
これもきっとカルシウム。
2日後には、猫の尿管結石摘出も待ってます。
今年も頑張りまーす。
追伸
患者さんが、ニコルのためにコートを作ってくれました♪
しかも3着!!
早速おめかしして散歩
心なしか、いつもよりも小走り(^^)
みなさんには、いつもお心遣いいただきありがとうございます。
おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
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