2012.04.25 Wednesday

猫の腸炎

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    「猫が年をとると慢性腎不全になる」 猫を飼っていると、みなさん一度は耳にしたこともあるかと思います。

    それとは別に、昔から腎不全ほどの確率ではないですが、「膵炎・胆管肝炎・腸炎」も年をとった猫がかかりやすい病気とされています。(単独でももちろん、2つが併発している場合もあります。)

    そのなかでも、今日は腸炎の話を2症例。

    1症例目は、17歳になるアメショーのSちゃん
    当院で診るまで、数ヶ月間食欲不振と間欠的な嘔吐を訴え,病院に行くもなかなか治らず。。。
    飼い主さんの献身的な看護やこれまでの治療のお話を聞かせていただき、現状把握のため検査を行うと、レントゲンにて明らかに腸がおかしいことに目がいきます。


    そこで飼い主さんに、
    「これ、腸自体の問題だと思うのですが、試しにこのご飯(処方食)を食べてステロイドの投与を行ってみませんか?」
    ここまでの経過も長いので入院させて集中的に治療すること数日、以前がうそのように食べるようになりました。
    さらに治療継続すること7カ月、元気も食欲もあり(もちろん嘔吐はありません)、もともと腎不全もあったのでそちらの治療も行いながら・・・
    現在ではステロイドも減薬できて、飼い主さんにも笑顔がもどっています。
    Sちゃん、処方食好き嫌い言わずに、ちゃんと食べてね!

    2症例目は、10歳になる黒猫のMちゃん
    毎年冬に行っている猫の健康診断キャンペーンでのお話です。
    一般的な血液検査と尿検査で、腎不全の早期発見を目的に行っている検診ですが、腎不全の徴候は見られないものの尿検査にて引っ掛かることがあったので、除外診断もかねて超音波検査とレントゲン撮影をしました。尿での異常は、ある種の問題をお話し経過観察とさせていただきましたが、どうも、腸がいやらしい感じです。


    飼い主さんとお話をすると、「1カ月前から、軟便なんです。以前は良いのが出てたのに、気になってたんです。」とのこと。
    「ですよねぇ、こちらとしても腸がものすごく気になるんです。腸自体の問題の可能性がありますので、まずはこの処方食、食べてみてください。改善しないようなら、ステロイドを試します。」

    最初に処方したご飯は、お気に召さなかったようで、違うものを用意しました。するとこちらはお口にあったようで、喜んで食べはじめそれから数日、以前のような良い便が出ました。飼い主さんも大満足。


    この病気、きれいさっぱり治ってしまうわけではありません、付き合っていく病気です。
    今回ご紹介した子達は、うまくいっていますが、中には腸のリンパ腫や腺癌などが原因の場合も経験します(そのような病気の多く子は、おなかの中にしこりを触知します)。
    そんなことも絡んでくる病気なので、開腹にて腸組織を採って検査することで、確定診断を行います。しかし、しこりも触らないのに最初からそんな検査なかなか難しいので、まず試してみて考えるということで「あり」かと思います。

    猫の慢性軟便・嘔吐・・・こんな病気かもしれません。気になる方は、一度ご相談ください。
    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
    2012.04.05 Thursday

    犬の免疫介在性溶血性貧血 IHA

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      さて、免疫介在性溶血性貧血(IHA)という病気があります。

      簡単に言うと・・・

      免疫機能が誤作動を起こし、自分の赤血球を攻撃し壊してしまう、非常に厄介な病気です。
      程度の差はあるものの、当然のことながら貧血を起こします。

      当院でも、年間数例この病気に出会います。 犬も猫も。

      約1年前のことです、
      数日前にフィラリア予防のため、いつものルンルンな様子で来院していた、T.プードルのAちゃん。
      突然元気がないとのこと、早速診察してみると、歯肉も舌の色も真っ白!!重度の貧血!!!
      検査の結果、IHAと診断しました。



      血液は自己凝集し、赤血球の壊れる速度も速い、IHAでも嫌なパターン 
      治療開始です!治療費はかかりますが、中途半端なことをやっても助かりません。
      病気を理解してくださった飼い主さんも「お願いします」とのこと。

      ステロイド、シクロスポリンの投与を開始し免疫機能を抑制、さらに輸血も。
      この病気、貧血はもちろんですが、血栓が詰まったりして亡くなることが多いのです。
      そのために、低分子へパリン(血を固まりにくくする薬)の投与もします。

      それでも、ガンガン赤血球は壊れていきます・・・
      最後の頼みの綱、ガンマガード(ヒト免疫グロブリン製剤)の投与、さらに2回目の輸血・・・



      集中治療すること数日、なんとか、自己凝集は治まり、壊れる速度も遅くなりましたが、まだまだ手を緩めるわけにはいきません。
      免疫誤作動の嵐がおさまるまで、じっと我慢で投薬を続けます。

      それでもなんとか、途中に山あり谷ありでしたが、飼い主さんの献身的な看病と理解もあり、いまだ投薬は行っているものの、大きな副作用もなく、かなり減薬も可能になり、いつものルンルンな感じで月に2回ほど来院しています。
      よく頑張ってくれました         

      しかし、この病気・・・治療に反応せず、亡くなってしまうことも多いのが現状です。
      現在、3頭この病気と闘っている子がいます。
      なんとか、みんな元気! これからも頑張ろう!!

      おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
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