2019.02.26 Tuesday

犬の尿管閉塞 シュウ酸カルシウム結石 クッシング症候群 膀胱結石・尿道閉塞

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    この頃ウチの病院での流行り病は、

    「犬のシュウ酸カルシウム結石による、尿管閉塞」

    昔からありましたが、昨年くらいから猫の症例の合間に、診ることが多くなってきました。

     

    シュウ酸カルシウム結石といえば、

    Mシュナウザーやシーズーは出来やすい犬種として挙げられます。

    ただ、猫の場合とはちょっと違いますので、紹介します。

     

    さて今回は、以前からクッシング症候群の治療を行っているシーズーのIちゃん。

     

    言わずと知れた、犬のクッシング症候群。

     

    体内では、副腎という臓器から、ステロイドホルモンが分泌されています。

    体がストレスなどに対応するために欠かせないステロイドホルモン。

    クッシング症候群は、そんなステロイドホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。

     

    ステロイドが過剰に分泌されると、

    多飲多尿、多食、脱毛、傷がくっつきにくい、皮膚の石灰化、易感染性などの症状が出てきます。

    そしてその中の一つ病態として、カルシウム結石が出来やすくなります。

    (憎っくきあいつ・・・)

     

    そんな病気を持つIちゃん、最初は膀胱結石による尿道閉塞から始まりました。オス犬なので結石が尿道につまりおしっこが出にくくなってしまったのです。

    カテーテルで詰まった石を膀胱内へ押し戻し。

    っと一連の処置を行い。

    レントゲン検査では、膀胱内の結石はもちろん、腎臓内にも結石がしっかりと。

     

    飼い主さんは、「このままじゃまた詰まるから、先生どうにかしてあげられないかな?」って・・・

     

    そうはいってもクッシング症候群、正直なるべく切りたくない。でもな、う〜〜ん。

    「クッシングもコントロールできてるし、やってみますか!」

    通常ウチの病院で、膀胱切開の術後にカテーテルを膀胱内に留置しておくことはほぼありませんが、

    切った膀胱がくっつきにくいなんてことが起こると最悪なので、今回はしっかり留置。

    漏れないことも確認して。

     

    退院の朝。

    「良かったですね」「先生ありがとう」なんて会話の最後に。

    「腎臓内にも結石あるからね、落ちて詰まらないといいですね・・・」

    「でも、やりようがないからここはみんなで祈りましょう!!」

    って、頭を撫でて無事帰宅。

     

    の、2ヶ月後。

    なんだか調子が悪いってことで来院。

    検査してみると、今度は右の腎臓が水腎症、尿管でバッチリ結石が詰まっています。

     

    「俺があんなこと言っちゃったから詰まったのか」

    「あんなにお祈りしたのに」って神様を恨んでもはじまりませんが、恨みます。

    写真:矢印のところに結構大きな結石があります。

     

    元々、クッシング症候群から慢性の尿路感染症があるため、尿の流れが滞った事で、発熱を伴い、さらに状態が悪くなっています。

    ただ幸い、腎臓の数値は正常値。

     

    この状況普通なら、尿管切開によって結石の摘出も考えるところですが、

    相手は、Iちゃん。

    万が一うまくいかなかった時を考えて。(その時の後の展開は、本当に最悪なので)

    抗生物質で感染を抑えつつ数日経過をみることに。

     

    祈ること1週間

    結石動いてます!!エコーでも確認、水腎も縮んでる!!!

    抗生物質も効いて熱もコントロールでき、食欲も元気も出てきました。

    写真:結石、動いてます!!

     

    これならもう少し待ってみても良さそうです。

    そしてさらに強めにお祈り・・・

    写真:あー!!膀胱までもう少し!!!

     

    時間はかかりましたが、膀胱内へ無事に到着。

     

    実はこの後、落ちた結石が尿道に詰まり、もう一度膀胱切開しました。(その時は膀胱内に多数の結石が存在)

    が、尿管切るよりマシ。

    通常なら会陰尿道瘻の手術も検討したいのですが、肝心の会陰部の皮膚は石灰化。

    尿道粘膜つかなかったら・・・最悪です。

     

    今回の場合、結石は尿管を通過してくれましたが、結局膀胱切開は2回。

     

    そんなIちゃん、今でも調べれば、尿路感染症あると思いますが、ずっと抗生剤やって肝心な時に効かなくなっても困ります、長期的には、腎臓に負担がかかると思いますが…短期的には、経験的に尿の流れが滞る事がなければあまり問題が起きることもありません。

    菌に目くじら立ててもこういった病気の場合はイタチごっこ。

    SUBシステムなんてもってのほか。

    クッシングって本当に困った病気です

     

    が、クッシングを持っていなくても、尿管閉塞を起こした症例ももちろんいます。

    犬の場合、多発した結石を持ってると大なり小なり尿の慢性感染持っているケースがほとんど。プラスアルファの手が出せる感染の原因があれば、積極的に除去する様に対応していますが、猫とはやっぱりちょっと違うようです。

    その話は、また今度ゆっくりと。

     

    気が休まりません。

    困ったら相談してください。

     

    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

     

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