2017.02.11 Saturday

ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の治療薬 

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    最近、ネコの飼い主さんとよく話すこの話題。

     

    特にウチの病院は腎不全を扱っている件数も多いので・・・

    皆さん気になってます。

     

    「先生、あの記事見ました?!!」

    「うちの子も長生きできるかしら?!」

    「いつ頃薬がでるんでしょうかね?」

     

    などなど

     

    数ヶ月前に発表された東京大学による研究がそれです。

    http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08431130W6A011C1TJM000/

     

    ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の多くは間質性腎炎であることは以前から分かっていたことですが、

    その原因については不明でした。

     

    現在まで「ネコは腎不全になる生き物なんです」としか言いようがなかったのですが、

    東京大学の研究で原因が解明されてきました。

    今後数年かけて研究が進み、実用化されることを期待します。

     

     

    それとは別にこの4月に販売予定で、動物用薬として認可された「ラプロス」という薬。

    東レさんが開発しました。

    http://www.nikkei.com/article/DGXLRSP434073_T20C17A1000000/

     

    この薬の主成分である「ベラプロストナトリウム」は

    もともと医学領域で慢性動脈閉塞症や原発肺高血圧症の治療薬として使用されています。

     

    獣医学領域でも、循環器の分野でこの薬を使用した発表がみられ、

    今回の研究で、ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)の進行を抑制させる効果が分かったようです。

     

    ネコの慢性腎障害(慢性腎不全)における治療の選択肢になることは間違いありませんし、

    もちろん当院でも使ってみようと思いますが。

    副作用や効果、本当の投与量などの検討は、

    臨床の現場で数ヶ月から数年間経過してみないと分からないと思います。

     

    さらに細かな話をすれば・・・

     

    この薬だけ飲めば良いわけでもありません。

    今までのような維持療法も行いつつの、もう一つの選択肢です。

     

    腎障害は、間質性腎炎に限ったことではありません。

    その他にも腎炎が存在します。

     

    このような薬が出ると、「BUN,Creが高い症例には何でもかんでも飲ませる」なんて風潮が・・・

    いうまでもなく、ちゃんと診断してこその治療薬です。

     

    まあ、とにかく病気が解明されることは良いことです。

    私が診ているネコちゃん達には、1日でも長く生きてくれることを目指していますので、

    このような薬が出てくれることは喜ばしい限りですね。

     

    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

     

     

     

     

     

    2016.12.22 Thursday

    猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その3

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      腎臓の数値もだいぶ下がったMくん。

      食欲も安定し始めました。

       

      こうなると最終段階です。

       

      尿管の流れはどうなっているのか?

      腎瘻チューブから直接造影剤を注入し確かめてみます。

       

      すると、尿管の炎症はものすごいことになっていますが、なんとか膀胱まで達しています。

       

      おおっ!!!

      このまま腎瘻チューブの抜去で終われるか?

       

      試しに腎瘻チューブを閉じて24時間・・・

      自力排尿で腎臓の数値が上がるのか? キープなのか?? 下がるのか???

       

      上がりました_| ̄|○、このままの尿管ではダメなようですショボン

       

      この結果をうけて、再度飼い主さんとお話。

      「このままではダメみたいです。」

      「腎瘻チューブの抜去と併せて、尿管のつなぎ直しが必要です」

       

      飼い主さんも十分理解していただいたようで、「お願いします」の一言。

       

      一度上がった数値も落ち着いたところで、2回目の開腹手術です。

       

      さて、問題の尿管は??

      先週開けた時とは比べ物にならないほど正常に近い血色になっていました。

       

      「これが、だめかぁぁ」

      ため息をついても治りません。

       

      術前の造影検査でも把握していたように、腎臓から5〜6僂泙任魯ぅ韻討詛管でしたので、

      その部分で尿管を切断。

      断端を観察すると、粘膜は炎症により肥厚が半端じゃありません。

       

      つないだ後に炎症で再閉塞なんてことも頭によぎりながら、慎重に膀胱へつなぎ直します。

      (泌尿器の外科では結構あることです・・・)

       

      手術も無事におわり、つないだ尿管には数日間カテーテルを留置して。

      さあ!!塞がるなよー!!!

       

      大丈夫ですき

      腎障害は少し残りましたが、バッチリ!!

      今後は慢性腎臓病として治療を継続していけば良いでしょう。

      あと2〜3年がんばってほしいものです手

       

      おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

       

       

       

      2016.12.09 Friday

      猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その2

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        さあ本番です。

         

        まずはレントゲン。

        左の腎臓は萎縮・・・機能が期待できません。

        右の腎臓は腫大。しかしいつも見るような結石の存在はありません。

         

        エコーで見てみると、腎臓内にも尿管内にも閉塞物はちらほらあるのですが、石ではなさそうです。

        問題の右尿管をたどっていくと・・・膀胱までしっかり太く、流れが悪くなっています。

         

        現時点では閉塞の原因は定かではありませんが、今回の急性腎障害は、

        右の腎臓および尿管に起きた閉塞が問題となっていることが分かりました。

         

        そうと分かれば、まずは尿流の確保が最優先です。

        お決まりのようになっている感もありますが、全身麻酔をかけて腎瘻チューブの設置です。

         

        開腹しての腎瘻チューブの設置はそれなりのリスクとなりますが、

        安全にチューブの設置が出来ること、尿管や腎臓を直接見れることなどメリットも大きいです。

         

        麻酔をかけて開腹。

        さあ尿管はどうなっているのか?

        「!!!」

        膀胱に入る直前で精索(精巣に付属する部分)が絡み付き、絹糸と思われる糸も発見。

        これか!!!

        拘束されている尿管は炎症によりものすごい色になっています。(写真は白黒なので分かりづらいと思います)

        去勢の手術は十数年前。

        その当時は絹糸だよなァ(今ではまず使いませんが)とか考えつつ。

        長年絡み付き尿管の流れを悪くさせていた精索と絹糸を切除。

        合わせて腎瘻チューブの設置を行い、第一段階は終了。

         

        麻酔の影響も最小限で、翌日より食欲も出始めました。

        あんなに高かった血液検査の数値もグッと下がり、腎瘻からの排尿もたくさん出ます。

         

        これは期待できます!!

         

        最終段階の話はその3で。。。。

         

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        2016.12.01 Thursday

        猫 慢性尿管炎による尿管閉塞 尿管転植術 その1

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          14歳になるラグドールのMくん

           

          ある日の夜、急患の診察希望でお電話がありました。

          「どうぞいらしてください」の返事もそこそこに

          飼い主さんは、Mくんを連れて来院されました。

           

          現在の状況とここに至るお話を聞くと・・・

          他の病院での血液検査で慢性腎不全の末期と診断され、「諦めてくれ」と言われたようで。

          (医者の先入観は禁物です。いい教訓になります、いつも気をつけていないといけません。)

           

          しかし当のMくん、以前のような食欲や元気はないらしいのですが、

          良く経験的する腎不全末期の子とは違い、診察台の上でも意外としゃんとしています。

           

          飼い主さんが撮影した写真でも、凛とした姿で窓から外を見ていました。

          そんな感じなMくんなものですから、飼い主さんも

          「そうなんです、末期とは思えないんです。どうにも諦められなくて。」とおっしゃいます。

           

          ただし、血液検査の結果を見せてもらうと、腎臓の項目はどれもぶっ飛んでいます。

           

          「うーん」考えること2秒。

           

          「ちょっとエコー見させてもらえませんか?」と提案。

           

          やっぱり!!!!

          水腎症です。くわえて尿管もものすごく太くなってます。

           

          「これ助かる可能性ありますよ」

           

          本当は一気に検査を進めたいのですが、夜の急患です。

          これ以上のしっかりした検査はスタッフもいないとできません。

           

          幸いMくんは、排尿は少なめですがしっかりあると言うことなので、

          明日の朝一で検査をすることを約束して、その日の夜はお家に帰っていただきました。

           

          本番はこれから。

          話が長くなるので、続きは後編へ。

           

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          2016.10.28 Friday

          猫の慢性細菌性膀胱炎 膣の異常 手術

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            一般的に、猫の膀胱内に細菌感染を起こすことはまれです。

            それは、健康な猫の尿は細菌の繁殖が起りづらいためです。

             

            年をとって慢性腎臓病になり尿比重が低下してくると細菌感染も起りやすくなりますが、

            それでも犬に比べると少ないと思います。

             

            今回は、慢性細菌性膀胱炎で転院してきた11歳になるアメショーのYMちゃんの話です。

             

            ウチの病院に来るまで、いくつかの病院で診察を受けていらしたのですが、

            それぞれの先生方の言うことも統一性が無く、飼い主さんも何を信じて良いのか迷っていました。

             

            そこで、今までの経過をゆっくり聞かせてもらい。

            現状把握のために検査をしました。

             

            ただその検査方法もいろんな情報が入りすぎて混乱しているようで・・・

             

            尿の細菌検査は、必ず穿刺採尿です(膀胱に直接針を刺して抜きます、腫瘍がある症例は別です)。

            それ以外の方法は信頼性が低くなっていきます。

            穿刺採尿>カテーテル採尿>自然排尿(家で採った尿など)の順番できれいな尿が採れます。

             

            よほど動いてしまう子はあぶないので違う方法をとりますが、

            経験的にほとんどの子がすんなりやらせてくれて、幸い事故は一度もありません(あってはならないことですが)。

             

            当然このYMちゃんもすんなり終わり、飼い主さんも一安心。

            そして、尿は・・・細菌でいっぱいです。

             

            更には、血液検査、レントゲン、エコー検査とフルに行い。

            結果、軽度の慢性腎臓病もあることが分かりました。

             

            とにかくここまで分かれば、薬剤感受性検査をもとに適切な抗生物質を選びます。

            1週間後。。。尿の細菌は消えていました。

             

            そして待つことさらに1ヶ月。

            再検査をしてみると・・・やっぱり細菌が・・・再発性の細菌尿です。

            ちなみに慢性化している細菌尿なので身体も慣れしまい、待っていた間に膀胱炎症状は一切出ませんでした。

            (想像すると、これって結構怖いことですよね)

             

            さあ、原因を追及しなくてはいけません。

            通常のレントゲン撮影やエコー検査では問題箇所が見つかりません。

             

            造影剤を使って尿路のレントゲンを撮ります

            膀胱は・・・大丈夫。

            尿道は・・・問題なし

            いったいどこに原因があるんだろう??

             

            ありました!!

            膣内に通常あるはずの無いスペースが存在していました。

             

            外尿道口より排泄されたおしっこは、余分なスペースがあることにより出切らずに溜まってしまうのでしょう。

            尿が溜まってしまうと細菌は繁殖します。

            繁殖した細菌は外尿道口より膀胱へ感染していきます。

             

            これがYMちゃんの病気のストーリーです。

             

            でも、こんなこと猫では初めて見ます(犬では時々みられますが、いろいろなことが起るもんですね)

             

            肝心の治療は、簡単な手術で済みそうです。

            軽度の腎不全がありますが麻酔時間もそれほどかからずいけるので大丈夫でしょう。

             

            抜糸までは2週間。

             

            さらに待つこと1ヶ月。

            尿検査です・・・・・細菌いません!!!

            診断は、当たってました(当たらなくちゃ困ります)

             

            飼い主さんとともにみんなで拍手。良かった良かった手

             

            腫瘍などの手術とは違い、泌尿器の手術はまずやってみるところから入ります。

            特に尿漏れや慢性の膀胱炎ではいろいろな要素が複雑に絡み合っており、

            やってみてダメなら次のことを考えるといった方式を取らざる負えません。

            なるべく1発で決めようとしていますが、残念ながらあります。

             

            なので、もちろん自信はあるのですが

            このような症例での尿の感染の再チェックはドキドキするのでやりたくありません、

            が、逃げてもダメなのでやっぱりやります。

             

            「ダメなら先生また考えてくれるでしょ」と飼い主さんは言ってくれますが。

             

            知らなくて済まされるのであれば・・・・

            ほんと身体に悪いです。

             

            とにかく、飼い主さんも大喜び。

            よかったァ矢印上

            一件落着。

             

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            2016.09.27 Tuesday

            犬や猫の尿管閉塞・水腎症の対応は緊急です。

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              もうルーティーンの様な病気になっている尿管結石・水腎症(もちろん数は少ないですが犬でも起ります)。

               

              知り合いの開業の先生からの紹介の場合は、その先生から電話があり直接話が出来るのでまだいいのですが。

               

              飼い主さん自身が来院される場合。

              かかりつけの病院で診断されて、治療をするものの手に負えず。。。

              数日もしくは数週間経って、インターネットで探してウチの病院へ相談に、調べてみるとかなり進行。。。

              そんなケースは決して多くはないですが・・・あります。

               

              結石ばかりではなく何らかの問題により尿管が閉塞すると、水腎症(腎臓内に尿が貯留している状態)になります。

              今回は水腎症の話をちょっと詳しく書こうと思います。

               

              人間も犬の猫も腎臓は左右2個あります。(2個とも正常に機能して100%)

              片方の腎臓が全く機能しなくなっても、もう片方が正常なら50%障害ですので、

              BUNやCreと言った腎臓の項目は上昇しません。(一般的に75%障害で上昇してきます)

               

              そのような場合は、症状も出ないことがあるので飼い主さんはもちろん獣医でさえ気がつかないことがあります。

              別の病気で検査をしてみると水腎症が偶発的に見つかるパターンがこれです。

               

              このパターンでは、原因は何であれ水腎症の腎臓が機能しているのか機能していないのかを調べる必要があります。

               

              機能を有している水腎症(腎臓)であれば早急に手を打たないとダメ、ほっておくとその腎臓は機能を失っていきます。

              機能していない水腎症は、それはそれで感染を起こし膿腎になってしまう可能性が高いので将来的に腎臓摘出をおすすめします。

               

              何れにしてもどうなっているのかを早急に判断することが重要となってきます。

              「BUNやCreが上昇していないから大丈夫」そんなこと一切ありません!!

               

              次に、結石などにより尿管の流れが悪くなって水腎症になっているパターン。

               

              これは、ほとんどの子で腎臓の項目が上昇しており、

              元気が無い、食欲が無い、といった症状も出ていることが多いので、飼い主さんも獣医もすぐに分かります。

               

              症状も出ているのですから早急に治療を開始しなくてはいけません。(当たり前です)

               

              要は、おしっこが流れないのです。

              ただ点滴をしているだけで良くなればいいですが、

              良くならなかったときには尿の排泄ルートを確保することが重要です(それをしないと治りません)。

              経験的にこのパターンの症例はほとんど初日に手を打つことが多いです。

               

              「水腎症なんだけど、どうしたらいいんでしょう?」と飼い主さんからも獣医さんからも相談を受けますが。

              いつも決まってこう言います。

              「すぐに対処しましょう。連れてきてください。」

               

              1つの身体に2つしかない腎臓。

              一度悪くなってしまうと、もとには戻らない臓器です。

              大事にしないといけません。

               

               

              おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

              2016.08.29 Monday

              老猫の尿道狭窄 おしっこが出ない 会陰尿道瘻

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                一般のご飯が良くなっているせいか、猫のストラバイト結石が少なくなったこのごろ。

                オス猫でおしっこが出なくて困るといった症例は、当病院でも診る機会が減りました。

                 

                結石による尿道閉塞を起こしても、結石の摘出手術や処方食への変更によりほとんどが改善してしまいます。

                 

                それでもやっぱり起る尿道閉塞。。。

                そんな少ない症例のなかで起る時は・・・閉塞させないような手術が必要となることがほとんどです。

                 

                今回は、御年18歳になる猫のKちゃんの話です。

                 

                最初は獣医師会でお世話になっている先生からのお電話でした。

                 

                「先生、おしっこ全く出なくなってしまった子がいるんだけど・・・

                 ただしすごい年で数年前から腎不全もあるんだよ。」

                と先方の先生も困った様子。

                 

                「分かりました。とにかく診ないと分からないのでウチで引き受けます。」

                とお返事をすると。

                間もなくして飼い主さんとともに来院されました。

                 

                早速、身体を触ってみると・・・パンパンの膀胱が触知されました。

                それはあまりにもパンパンすぎて、これから検査をする上で膀胱破裂しても困るためまずは尿を抜くことに。

                ただし、尿道にカテーテルは入りませんショボン仕方が無いので、外から針を刺して地道に抜いていきます。

                 

                そして数分後、何となく普通の膀胱の大きさくらいになったところで検査再開です。

                血液検査、レントゲン、エコー。

                尿道を閉塞させているような結石の証拠はありません。

                 

                再度尿道にカテーテル入れてみると・・・やっぱり入りません。

                尿道口から1センチ弱のところでつかえてしまいます。

                それでは次の手段。

                カテーテルよりももっと細い管を使ってゆっくり挿入。。。入ります、1センチを超えたあたりまでOK。

                抜いてみると。。。尿線は極細ですがおしっこが出てきました。

                が、すぐにまた詰まる。詰まりの原因は先ほどエコーで確認した沈殿物。

                 

                っと、だいたい病態が把握できたところで証拠とりの尿道造影。

                 

                尿道出口は糸のように細くなっていました(尿道狭窄)。

                繰り返してたであろう尿道炎により徐々に狭くなり、それでもおしっこは出ていたので飼い主さんも気づかず。

                ただし、病気はゆっくり進行。

                膀胱内に余剰したおしっこは慢性膀胱炎を引き起こし、ドロドロのおしっこへ変貌。

                ついに出なくなってしまったのでしょう。

                 

                と決まれば、会陰尿道瘻手術の適応です。

                超高齢です、腎不全もありますが、短時間の麻酔ならいけそう!!

                というかおしっこが出ないんじゃやるしかありません。

                 

                術後2週間、抜糸も済んでおしっこも立派に出るようになりましたきゃvネコ

                心配していた腎不全の悪化も無く、Kちゃんもすこぶる元気で機嫌がいい!

                 

                あと2年がんばって20歳を目指してもらいたいと思います。

                手術した尿道はそのくらい余裕でもつと思います手

                 

                おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com

                2016.03.24 Thursday

                猫の尿漏れ 慢性膀胱炎 治療

                0
                  尿漏れ、犬では経験することが多いのですが。

                  猫の尿漏れ・・・珍しいです。

                  今回診察させてもらった11歳になるアメショーのMちゃん。
                  他院にて、慢性的に繰り返す膀胱炎の治療をしていたのですが
                  「どうにかならないものか」と悩んでいらっしゃいました。

                  お話を伺うと、
                  頻尿・血尿と言った膀胱炎症状にくわえて、若い頃から尿漏れがあるとのこと。
                  抗生物質を飲ませると一時的に症状は治まるのですがまた再発し、
                  尿漏れに関しては分かってはいたらしいのですが、診察していた先生方も??
                  かれこれ10年「漏れるのはしょうがない、こんなもんかぁ」と諦めていたそうです。

                  「猫で尿漏れ???」正直あまり聞いたことがありません。
                  さらに、尿漏れの様子を詳しくお聞きすると・・・

                  この辺が悪いのかな?!
                  頭の中にはいくつかの鑑別リストが浮かびます。

                  ただし、診察台に乗っているこの子はどう見ても猫です。
                  状況証拠はあるけど猫でもおきるのかぁ??としばし考えるものの・・・

                  悩んでいても無駄なので、原因究明のため早速検査。

                  尿の様子は・・・細菌でいっぱいです。
                  こうなるとあとは画像診断。


                  「やっぱり!尿道括約筋がゆるゆるですガーンネコ

                  このような尿道括約筋のゆるみは尿漏れとともに慢性膀胱炎を招きます。

                  膀胱内の細菌感染はほとんどが逆行性(外陰部から)の侵入です。
                  尿道括約筋は関所の役割もしているので、そこがゆるいと・・・
                  悪い奴らも簡単に入ってきてしまいます。

                  今回のMちゃんの慢性膀胱炎、
                  その原因は尿道括約筋のゆるみではないかと診断しました。

                  治療としては、ゆるんだ尿道括約筋を締める薬を投与します。
                  膀胱内の細菌の退治も一緒に行い。
                  待つこと1週間。

                  「尿漏れの量がだいぶ少なくなりました!!」と飼い主さん

                  薬の副作用もなさそうなので、もう少し用量を上げてみてしばし経過観察。
                  なにしろ10年ものの尿漏れ、完璧にシャットアウトといくのかどうか?!

                  そうは上手くいきません。。。最初の薬は多少効果があったもののやっぱりダメ

                  次の薬を試します。まずは最小用量・・・・・ダメです。
                  更に用量アップ!!

                  おっ!!!
                  効いていそうです、が、いまいちショボン

                  この薬はどうか???
                  なんかいい感じ!今までとは明らかに違います手
                  飼い主さんも違いを実感!!!!(だいぶ笑顔ですき

                  残念ながら完全にシャットアウトとはいきませんが、ダーダー漏れていた時と比べればものすごく少量です。

                  こういった尿漏れには、外科的なアプローチも存在しますが、かえって出なくなってしまうなんてことも。
                  また、医学領域で行われている人工尿道括約筋(インプラント)のようなものも動物用に開発されており、
                  今後の検討課題となりそうです。

                  今回のMちゃん。現在は飼い主さんと話し合いの結果、外科的な治療は考えていません。
                  今後は、もう少し違う薬も併用しながら経過観察をしたいと思います。

                  おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com
                  2016.02.22 Monday

                  アメショー 尿管結石 急性腎障害

                  0

                    尿管結石を患って来院される飼い主さんと猫ちゃん。
                    なんだか、1症例退院してはまた1症例入院と、
                    ほとんどルーティーンのような治療になっている今日この頃
                    全部書いてると毎月ブログが「尿管結石」になってしまいそう。
                    昔はこんなに診ることのなかったのに。。。病気が多いのはやはり困ります。

                    純血種では、アメショー・スコティッシュ・マンチカン
                    他の種類に比べて圧倒的に多い気がします。(当院にも・・・)

                    さて、今回はちょっと前の話になりますが、勉強会などでご一緒している先生の飼い猫。
                    3歳になるアメショーのSちゃんです。

                    ある日勉強会でお会いすると・・・
                    「先生、実はうちの猫が尿管結石なんだけど、ちょっと相談に乗ってもらえない??」
                    と深刻そうなお顔で・・・

                    「いつでも大丈夫ですよ!!」
                    と返事をして、日程を調節し先方の病院へお邪魔しました。

                    ウチのエコーよりも数倍よく見える最新の機械が入っている病院でしたので、
                    そちら操作もちょっと楽しみ矢印上。(不謹慎で・・・すいません汗

                    早速経過を伺うと、
                    2週間前に急に具合が悪く・・・検査してみると急性腎障害が起きており、尿管結石が見つかったとのこと。
                    今は状態も安定して腎臓の数値も下がってきているようです。



                    すぐに検査をさせてもらい診てみると。
                    左尿管に結石がみられました。
                    今回の症状は、先に閉塞した結石の隙間に小さな結石が詰まったのでしょう。

                    現状、問題は左の尿管結石です。
                    右の腎臓は正常に機能しているので大丈夫。

                    とにかく左の腎臓をいかに長持ちさせるか!!
                    まだまだ若いネコですので、これから10年生きてもらうには
                    こちらとしても今何がベストなのか判断が難しいところです。


                    実際には腎臓内にも結石があるので尿管ステントやSUBシステムの設置が有力候補ですが。。。???
                    デバイスは絶対ではありませし、先は長いので不具合や耐久性のことを考えると??
                    更にはちょっと条件的にも無理がある部分も。
                    (以前のブログを参考に。http://okubo-vet.jugem.jp/?month=201409

                    その後何度となく先生(飼い主さん?!)と話し合い。
                    そんなこんなしていると、再び状態が悪化。
                    飼い主である先生も、外科手術の必要性を痛感されたようです。

                    最終的には年齢のことも考えて
                    今回は尿管切開による結石の摘出のみにとどめることにしました。

                     

                    閉塞している尿管も内腔は3mm以上ありますし、十分縫合することも可能です。

                     

                    尿管を露出して、石の直上で切開。

                    尿管切開部前後の疎通を確認。

                    かなり細い糸を選択することが多いですが、切開した部分を縫合。

                    漏れてこないか確認して終了。

                    手術では、飼い主である先生に助手に入っていただき、手術時間も1時間、無事終了。

                    ただし、再発のリスクは確実に残ってしまい・・・
                    一生涯ということで考えれば、今後も外科手術を行う可能性は高いと思われます。

                    このような結石に対してどのように対応すべきか・・・
                    デバイスは極力入れたくありません、入れれば生涯にわたって全てのことが解決する訳ではありませんから、
                    「最後の手段としてとっておきたい」正直そう思ってます。

                    高価な医療機器の導入も・・・(あれがあれば腎臓内の結石も採れるかも??!)

                    今回の件はいろいろ考えさせられました。
                    先生とは長い付き合いになりそうです。

                    おおくぼ動物病院 www.okubo-vet.com



                     

                    2016.01.26 Tuesday

                    高齢ネコの尿管結石 慢性腎不全 手術(SUBシステム)

                    0

                      今回はちょっと長い話になります。
                      ご紹介する症例は、13歳になるネコのNちゃんです。

                      ある日、私が駆け出しの頃からお世話になっている横浜の先生から電話をいただきました。

                      「ウチで診ている子なんだけど、どうも尿管結石なんだよ!ちょっと先生のところで診てくれない?」

                      「わかりました!!しっかりやらせていただきます」と返事し簡単に経過を伺い電話を切りました。

                      その翌日、飼い主さんとNちゃんが来院され、詳しい話を聞かせていただくと。
                      以前から慢性腎臓病(慢性腎不全)の診断を受けており治療中。
                      2日前に突然具合が悪くなり夜間病院を受診すると、尿管結石による尿管閉塞(水腎症)を指摘されたそうです。

                      早速、血液検査・レントゲン・エコー検査などを行うと
                      確かに左右尿管と腎臓内に結石がみとめられ、
                      左の腎臓は腎盂の軽度拡張(おしっこが流れづらい)が起きていました。
                      更に詳しい検査をすると、右の腎臓は既に機能しておらず左の腎臓1個でがんばっているようです。

                      状態はあまり良くないですし、遠方からの来院ということもあって、とにかく入院となりました。。。

                      初日からしっかり点滴して経過を見ていくと、結石は詰まったままですがおしっこは流れているようです。
                      数日後には腎盂の拡張も治まってきて、Nちゃんもだいぶ食欲もでて元気になってきました。

                      結石はあってもおしっこはちゃんと流れているのですから、まずは退院。
                      1週間後の再診をお約束して元気に帰っていきました。

                      それから1週間後・・・・「退院後すごく良かったのですが、おとといから元気ないんですショボン

                      検査結果は・・・
                      詰まってます、以前にも増して水腎症です。腎臓の数値もずいぶんと悪化してガーンネコ


                      緊急の処置として腎瘻チューブの設置をご提案しました。
                      もちろん全身麻酔下で行う処置(手術)となりますので、それなりのリスクが伴いますが。
                      飼い主さんも諦めたくないとのこと。
                      出来るだけ短時間の麻酔で終われるように勤めます。

                      その後待つこと4日、腎臓の数値は下がったとはいえまだまだ高値、しかし当のNちゃんはすこぶるご機嫌。
                      これなら次のステップに進んでも期待が持てそうです。

                      そして飼い主さんと話し合い。
                      このまま永久的に腎瘻チューブを付けていることは現実的ではありませんので
                      それに変わるインプラントを提案させていただきました。

                      「SUBシステム」アメリカ人が考えたインプラントデバイスシステムです。


                      以前から用意はしていたのですが、適応症例に悩んでいました。
                      が・・・
                      今回のNちゃんの場合は、
                      高齢であること・再発リスクは高いのですが尿管ステントを入れるには尿管が細い・
                      腎不全が既に存在し短時間の手術が望まれることなどの理由で選択しました。

                      尿管ステントと同様にまだまだ歴史の浅い手術方法ですので、
                      各施設で行っている症例の経過もみてみないと何が正しいのか何とも言えません。
                      ステントにしてもSUBにしても入れずに済むのなら極力入れない方法を選択することが
                      結局は一番いいと思っていますが、状況に合わせて柔軟に対応するしかありません。

                      手術自体は無事に終了。術後の経過も良く、Nちゃん復活ですきゃvネコ


                      今後も慢性腎不全の治療とデバイスの経過観察は継続ですが、無事に退院。
                      飼い主さんもホッとしたようで笑顔が戻りました。手

                      その後の定期検診では、さらに腎臓の数値が下がり。
                      順調です。

                       

                      そのほかのSUBの情報はこちらをご覧ください。

                      http://okubo-vet.jugem.jp/?eid=865582

                      http://okubo-vet.jugem.jp/?eid=865598


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